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ちりぬるをわか

日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

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「あの家に暮らす四人の女」 三浦しをん 中央公論社 2015/7/10 発行

帯より:
謎の老人の活躍としくじり。
ストーカー男の闖入?
いつしか重なり合う、生者と死者の声ーー
古びた洋館に住む女四人の日常は、
今日も豊かでかしましい。

「でも夢見たっていいじゃない。
 年取って死ぬまで、気の合う友達と楽しく暮しました。
 そんなおとぎ話があったっていいはず。」(同じく帯に書かれてる本文からの一小節)

感想:面白かった。帯にもあるようにこの話はおとぎ話なのだろう。
なので、カラスが語り掛けたり亡くなった人の霊(?)が出てきた、河童の置物が動いたりもする。
けれどそれでもいいのだと思えるほどの作品で、単純に楽しみながら読んでいけた。

四人の女というのは、古い洋館に暮らす刺繍作家の牧田佐知と母親の鶴代。そこへ佐知の友人の谷山雪乃と、雪乃の後輩の上野多恵美が来て一緒に暮らし始め、いろいろとハプニングがあるという物語。

佐知と鶴代は旧家のお嬢さんといったところで、ほとんど家にいて過ごしてる。佐知は外に出なくてよいということで刺繍作家になったような引きこもりがちな性格でもある。

そんな佐知のモノローグ。P185 
「むろん、おおかたの場合、佐知は納期に間に合うよう必死に作品を仕上げ、「気に行ってくれるひとがいるといいな」とおおらかに構えている。
だが、たまにーー弱気になった時などーー叫びたくなる。私は遊びも恋も放擲して、毎日チクチクやっている! その気力と根性にちっとも気づこうともせず、「あら、かわいい」「オシャレ」などと気軽に刺繡を消費し、あまつさえ私の刺繍で身を飾って、街歩きやらデートやらを満喫するのか、おのれらは!
針一針にわが情念をこめて、おのれらの魂に直接刺繍してやりたい。
己らのたましいから噴き出す志々雄で白糸を染め、ものすごくリアルのな髑髏を刺繍してやりたい!
と思っても、そんなことは叫べないし口に出して言えないのが佐知なのである。」
ここ、思いっきり笑いました。
でもこのうっぷんのたまった感じが何となくわかるような気持にもなるのだよねえ。

この他にもいろいろと面白ところがあるのだけど、それは読んでのお楽しみ。

さらに言えば、この作品は細雪の4人姉妹の影響があるとか、ところどころでムーミンの話が出てきたり、あともしかしたらだけど、とあるマンガの影響もあるんじゃないかなと思えるセリフが出てきて、あれ?っと思ったりした。

とにかく笑えるほど面白かった。
ミステリーが多かったので、たまにはこういう楽しいと思わせてくれる本は良いなあ^^。

以上
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「鴨とアヒルのコインロッカー」 伊坂幸太郎 東京創元社 2003/11/25発行

創元社HPの内容紹介より:【第25回吉川英治文学新人賞受賞】
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は――たった1冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 

注目の気鋭が放つ清冽な傑作。解説=松浦正人

感想:伊坂幸太郎の2冊目。
もともとこの本を読みたかったけど、なかなか順番が回ってこなくて先に別の作品(ホワイトラビット)を読んだのだった。
そしてこの本も、ホワイトラビットと同じような構造をしている。
2つの時系列、2年前と現在が交互に出てきて最後に現在で物語が完結するというスタイル。
それはそれで面白いし、そこにもトリックがあって、最後に「えっ???」と思わせてくれる。

主な登場人物は現代で一応主人公らしい大学生になりたての椎名(男)と同じアパートに住んでいる河崎という男性。河崎が本屋を襲わないかと、引っ越してきた当日に声を掛けられるところから始まる。
そして二年前の物語では、河崎、琴美 そしてブータンからの留学生のドルジが主な登場人物。
二年前の話は、ペットショップから逃げ出した犬を琴美とドルジが探すところから始まる。

この他に、二年前でも現在でも出てくる麗子というちょっと変わった登場人物もいる。琴美のバイト先のペットショップのオーナーでもある。
この女性がいなければ物語が完結しなかったのも確かなので、影の主役かもしれない。

ただ・・この中にあまり好きじゃない登場人物がいて、読んでいて少しイライラしてしまった。
というのが椎名と琴美。

椎名は地方から出てきて慣れていない場所での生活で、まるで周囲から自分が見下されているように感じながら過ごしているのがどうも苦手。
琴美は後で事件に巻き込まれてしまうのだが、そこに至るまでの警戒心の薄さ、自分は大丈夫だろうと思い込みたいという気持ちが、とてもハラハラ、そしてイライラさせられる。

この二人のキャラクターは、実際にもいそうな感じだし、逆に河崎の突拍子もない言動や、麗子の無表情な態度のほうが、あるいは目につくのかもしれないとは思うんだけど、むしろその二人がいないと物語が成立しないというのもあるので、そこは楽しめるんだけどなあ。

作品自体は面白かった。けど椎名と琴美の二人のキャラクターで面白さが何割引きかになってしまった気がした(笑)。

苦手なタイプの登場人物だと、本だと分かっていても気に障るようです。
これはこれで新しい発見だわ^^;。
少し前の「臨床真理」の主人公もイライラしてしまったけど、あれは臨床心理士という立場を逸脱してることに対して。そして、そういうあり得ない描写をした作者に対しても・・かな?
まあ、あの話は無かったということで(笑)。

以上
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「掌の中の小鳥」 加納朋子 東京創元社 1995/7/1

創元社HPより:カクテルリストの充実した小粋な店〈エッグ・スタンド〉の常連は、不思議な話を持ち込む若いカップルや何でもお見通しといった風の紳士など個性派揃い。そこで披露される謎物語の数々、人生模様のとりどりは……。キュートなミステリ連作集。

感想:まず、加納朋子がこういった恋愛要素のある話を書いていたというのが少し驚き。今まで読んできた作中では恋愛っぽい作品がなかった。たまたま読んでなかっただけなのかもしれない。

まあ、恋愛といっても友達以上恋人未満的な付き合いの主人公二人。
その日常のなかにちょっとした謎を、エッグスタンドで話しながら解いていくというスタイルが各章に貫かれている。
それぞれの章毎に違う謎があり、主人公の冬城圭介が 穂村紗英から聞かされた謎話を解いていくというもの。

ただ登場人物でいえば、主人公たちよりもエッグスタンドのバーテンの泉さん(女性)が一番面白かったかな。

面白く読めたのだけど、書かれた時代を感じてしまった。
1995年の発行なので、バブル期の雰囲気が 穂村紗英やそのほかに出てくる女性たちの服装や言い回しなどが随所に出てくる、って思えてしまうのは歳のせいかな(笑)。
なのでこれを読んで面白と思える年代層があるのかもしれないなあ。

今まで読んだ中では、こんな具合に時代を感じさせる作品って少なかったと思うので余計にそう思ったのかもしれない。

でも、この作者は割と好きなので、読み残した本を探して少しずつでも読んでいきたいなとおもっているのでした。

以上。
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