ちりぬるをわか
日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。
「三日月邸花図鑑」花の城のアリス 白川紺子 講談社タイガ 2019/9/18
裏表紙より:
「庭には誰も立ち入らない事」――光一の亡父が遺した言葉だ。
広大な大名庭園『望城園』を敷地内に持つ、江戸時代に藩主の別邸として使われた三日月邸。光一はそこで探偵事務所を開業した。
ある日、事務所を訪れた不思議な少女・咲は『半分この約束』の謎を解いてほしいと依頼する。彼女に連れられ庭に踏み入った光一は、植物の名を冠した人々と、存在するはずのない城を見る。
感想:何となくタイトルに惹かれて借りた本だったが、少し読み進めるとこれでもかというくらいに植物の名とその細かい描写が出てくることにとても惹かれた。
山桜、楓、桔梗、凌霄花、秋明菊、万両、庭七竈。これらは光一の亡くなった父のスケッチブックに描かれた植物。
ここの、江戸時代からの古い屋敷にある庭が大きなウエイトを占めていて、
出てくる植物も重要な役がある。
「外側の濠に沿って、丸く刈り込んだ躑躅が並んでいる。花の盛りは過ぎて、赤紫の花が緑のあいまにまばらに咲いていた。色褪せた花弁が地面に落ちている。その手前には楓、松に柏と、新緑が午前の白い陽に照り映えて清々しい。濠の向こうに視線を向ければ、木賊が生垣代わりにぐるりと巡らされている。その奥には白い花をつけた山法師がひっそりと佇み、梶の木や栴檀の姿も見える。谷空木が紅色の花を重たげに枝に連ねているのが目に残った。」
こんな具合に、庭の一部を描写してるのだけど、
出てくる植物名が全部漢字表記になってるのは日本庭園だからなのか。
書き出していたらキリがないけど、
この本に出てきたほとんどの植物には馴染があるので、
一つひとつの描写に頷いてしまうのでした。
物語は、光一が咲の依頼を解き明かすために庭に入るところから始まって、
最後は咲が何者なのかを突き止めるまで。
随所に漂う歴史ロマン的な香りも重要な要素になってます。
もちろんこの物語の中だけの歴史なのでしょうけど、
いろいろと練られた作品でもありますねえ。
こういうのは今まで読んだことなかったから面白かった。
話の内容も面白かったけど、たくさんの植物にも惹かれたのかも(笑)。
ミステリーというより和風ファンタジーかな。
調べてみたらこの作者さん結構いろいろと本を出してるのでびっくりした。
またタイミングが合えば手に取るかなあ。
以上
裏表紙より:
「庭には誰も立ち入らない事」――光一の亡父が遺した言葉だ。
広大な大名庭園『望城園』を敷地内に持つ、江戸時代に藩主の別邸として使われた三日月邸。光一はそこで探偵事務所を開業した。
ある日、事務所を訪れた不思議な少女・咲は『半分この約束』の謎を解いてほしいと依頼する。彼女に連れられ庭に踏み入った光一は、植物の名を冠した人々と、存在するはずのない城を見る。
感想:何となくタイトルに惹かれて借りた本だったが、少し読み進めるとこれでもかというくらいに植物の名とその細かい描写が出てくることにとても惹かれた。
山桜、楓、桔梗、凌霄花、秋明菊、万両、庭七竈。これらは光一の亡くなった父のスケッチブックに描かれた植物。
ここの、江戸時代からの古い屋敷にある庭が大きなウエイトを占めていて、
出てくる植物も重要な役がある。
「外側の濠に沿って、丸く刈り込んだ躑躅が並んでいる。花の盛りは過ぎて、赤紫の花が緑のあいまにまばらに咲いていた。色褪せた花弁が地面に落ちている。その手前には楓、松に柏と、新緑が午前の白い陽に照り映えて清々しい。濠の向こうに視線を向ければ、木賊が生垣代わりにぐるりと巡らされている。その奥には白い花をつけた山法師がひっそりと佇み、梶の木や栴檀の姿も見える。谷空木が紅色の花を重たげに枝に連ねているのが目に残った。」
こんな具合に、庭の一部を描写してるのだけど、
出てくる植物名が全部漢字表記になってるのは日本庭園だからなのか。
書き出していたらキリがないけど、
この本に出てきたほとんどの植物には馴染があるので、
一つひとつの描写に頷いてしまうのでした。
物語は、光一が咲の依頼を解き明かすために庭に入るところから始まって、
最後は咲が何者なのかを突き止めるまで。
随所に漂う歴史ロマン的な香りも重要な要素になってます。
もちろんこの物語の中だけの歴史なのでしょうけど、
いろいろと練られた作品でもありますねえ。
こういうのは今まで読んだことなかったから面白かった。
話の内容も面白かったけど、たくさんの植物にも惹かれたのかも(笑)。
ミステリーというより和風ファンタジーかな。
調べてみたらこの作者さん結構いろいろと本を出してるのでびっくりした。
またタイミングが合えば手に取るかなあ。
以上
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「ごんぎつねの夢」 本岡類 新潮文庫 2024/5/1発行
裏表紙より:
15年ぶりのクラス会にキツネ面の男が乱入し、散弾銃を発砲した。
SATにより射殺された犯人は、なんと恩師だった。
幹事の有馬に託されたメッセージは「ごんぎつねの夢を広めてくれ」。
次第に見えてくる恩師の過去、名作「ごんぎつね」にまつわる哀しい史実、消えたかつての同級生の秘密……。
探索の果て、周到な計画と謎の原稿に隠された真相が明らかになる。切なさと希望に満ちたミステリー
感想:第一章でキツネ面の男が登場して射殺されてという件ですでにこれがごんぎつねの終わりを模した展開だと気がつく。
その後、フリーライター有馬が恩師でありキツネ面の男に託されたメッセージを元に色々と調べはじめ、少しずつ色々なものが見えてくる。
その中で、恩師が周到に用意していたヒントがいくつも出てきてそれを元に辿り着いた先に見つけたのが「ごんぎつねの夢」という原稿だった。
それをフリーライターとして本にして出版することになるのだが・・・。
冒頭からなんだか作品中に寂しさとか孤独とか、そういう感情が盛り込まれているようで、そちらに随分と引きずられた気もしたなあ。
そして、この恩師のメッセージは何を意味していたんだろうなあと読み終わった後に改めて考えさせられたのでした。
新美南吉のことを調べあげて書かれたのがよくわかる。
時間をかけてノンフィクションの部分を作品の下敷きとしていて、
相当な労力があったんじゃないかな〜と参考文献を見て思ったのでした。
この人の本はもう一冊読んでみようかなと思いました。
以上
裏表紙より:
15年ぶりのクラス会にキツネ面の男が乱入し、散弾銃を発砲した。
SATにより射殺された犯人は、なんと恩師だった。
幹事の有馬に託されたメッセージは「ごんぎつねの夢を広めてくれ」。
次第に見えてくる恩師の過去、名作「ごんぎつね」にまつわる哀しい史実、消えたかつての同級生の秘密……。
探索の果て、周到な計画と謎の原稿に隠された真相が明らかになる。切なさと希望に満ちたミステリー
感想:第一章でキツネ面の男が登場して射殺されてという件ですでにこれがごんぎつねの終わりを模した展開だと気がつく。
その後、フリーライター有馬が恩師でありキツネ面の男に託されたメッセージを元に色々と調べはじめ、少しずつ色々なものが見えてくる。
その中で、恩師が周到に用意していたヒントがいくつも出てきてそれを元に辿り着いた先に見つけたのが「ごんぎつねの夢」という原稿だった。
それをフリーライターとして本にして出版することになるのだが・・・。
冒頭からなんだか作品中に寂しさとか孤独とか、そういう感情が盛り込まれているようで、そちらに随分と引きずられた気もしたなあ。
そして、この恩師のメッセージは何を意味していたんだろうなあと読み終わった後に改めて考えさせられたのでした。
新美南吉のことを調べあげて書かれたのがよくわかる。
時間をかけてノンフィクションの部分を作品の下敷きとしていて、
相当な労力があったんじゃないかな〜と参考文献を見て思ったのでした。
この人の本はもう一冊読んでみようかなと思いました。
以上
「歩道橋シネマ」 恩田陸 新潮社 2019/11/20
新潮社HPの紹介文:
かつて大事にしていた記憶に出会えると――。郷愁と不思議に彩られた表題作。学園のおぞましい秘密「球根」。偶然出会った光景が物語を生成する「皇居前広場の回転」。ある青年の死をめぐって驚愕の真実が明かされる「降っても晴れても」。憧憬、恐怖、諧謔、戦慄、衝撃、恍惚……あらゆる感情が押し寄せる小説の奇跡、全18話。
感想:恩田陸の短編集の第四弾だそうです。この人の短編集はものすごくサクサク読めます。短い作品で、しかも作品ごとにバラエティがあるので、気分転換にはちょうど良い。
この作品にも筆者のあとがきが作品毎にあって、それを読んでから話を読むと、なるほどこういう趣旨で書かれた作品なのかと分かるのが面白い。
いろんなジャンルの詰め合わせの短編集だけど、サスペンスやホラーよりも何気ない日常の一コマを描いたような作品が気に入ってます。
この短編集だと「線路脇の家」「楽譜を売る男」と表題の「歩道橋シネマ」がよかったかな。
特に「歩道橋シネマ」はなんとなく安房直子の「きつねの窓」という童話を思い出しました。
「きつねの窓」の恩田陸バージョン的な感じに思えてしまった。
この人、いろんなジャンルを書いてるけど一番良いのはやっぱり日常的な出来事の作品かな。これまで何作か読んでみてそう思いました。
長編だと「夜のピクニック」が良いです。これも高校生の日常の一コマの作品って言えるかな
去年の10/31に読書ノートをアップしてあります。
以上
PS 感想から外れますが「きつねの窓」は10代のころに読んだ童話で、ものすごく好きな話です。いろいろな人に読んでもらいたい、と思います。
こちらはようつべの動画です。
新潮社HPの紹介文:
かつて大事にしていた記憶に出会えると――。郷愁と不思議に彩られた表題作。学園のおぞましい秘密「球根」。偶然出会った光景が物語を生成する「皇居前広場の回転」。ある青年の死をめぐって驚愕の真実が明かされる「降っても晴れても」。憧憬、恐怖、諧謔、戦慄、衝撃、恍惚……あらゆる感情が押し寄せる小説の奇跡、全18話。
感想:恩田陸の短編集の第四弾だそうです。この人の短編集はものすごくサクサク読めます。短い作品で、しかも作品ごとにバラエティがあるので、気分転換にはちょうど良い。
この作品にも筆者のあとがきが作品毎にあって、それを読んでから話を読むと、なるほどこういう趣旨で書かれた作品なのかと分かるのが面白い。
いろんなジャンルの詰め合わせの短編集だけど、サスペンスやホラーよりも何気ない日常の一コマを描いたような作品が気に入ってます。
この短編集だと「線路脇の家」「楽譜を売る男」と表題の「歩道橋シネマ」がよかったかな。
特に「歩道橋シネマ」はなんとなく安房直子の「きつねの窓」という童話を思い出しました。
「きつねの窓」の恩田陸バージョン的な感じに思えてしまった。
この人、いろんなジャンルを書いてるけど一番良いのはやっぱり日常的な出来事の作品かな。これまで何作か読んでみてそう思いました。
長編だと「夜のピクニック」が良いです。これも高校生の日常の一コマの作品って言えるかな
去年の10/31に読書ノートをアップしてあります。
以上
PS 感想から外れますが「きつねの窓」は10代のころに読んだ童話で、ものすごく好きな話です。いろいろな人に読んでもらいたい、と思います。
こちらはようつべの動画です。