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ちりぬるをわか

日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

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「箱庭図書館」 乙一 集英社 2011/3/30発行

集英社HPより:少年が小説家になった理由。ふたりぼっちの文芸部員のイタい青春。【物語を紡ぐ町】を舞台にひろがる、6つの物語。ミステリー、ホラー、青春、恋愛…乙一の魅力すべてが詰まった傑作短編集!

補足:この短編集は、読者からアイデアなどを募集してそれを作者・乙一(おついち)が短編集にするという企画からできたものだそうだ。

感想:読み始めて、何だかちぐはぐな気がする内容だなと思って、我慢しきれずにあとがきを読むと、補足に書いたようなことを作者自身が書いてあった。
なるほど、作風というかアイデア的になんかばらばらだと思ったらそういう事だったんだ。

原作が読者で、それを作者が箱庭のように一つの舞台(この場合は図書館がある文善寺町で「物語が紡がれる町」というキャッチコピーまで擁してあるという細かさ)での6つの物語に仕立てているのだ。

それぞれに出てきた登場人物は別の話でも出てくる。そういった繋がりが作者が「紡いだ」ということなのだろう。あとそれぞれの話に出てくる小物やら話に出てきた情報も入り組んだ形で織り込まれてる。

個々の作品としてはワンダーランドがミステリーもので面白かった。ラストのどんでん返しちょっとやられた感があって、う~むと唸ってしまった。これは原作のアイデア勝ちだろうなあ。

ただ、全体的な統一感が薄いのが残念だったかな。

そもそもこの乙一という作者の事は全く知らない。
図書館の本棚で背表紙をみて、「箱庭」という字に惹かれて借りたのだ(笑)。
いや、そういうのはやめておこうとは思ったんだけど、読みたいと思った本が並んでなかったのでたまたま目に入ったのを借りたのだ。

まあ、この人本来の作風ではないようなので、次に借りるかどうかは気分次第?

以上。
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「八月の御所グラウンド」 万城目学 文藝春秋 2023/8/10

文藝春秋HP紹介より:第170回直木賞受賞作! 感動、感涙の傑作青春小説
死んだはずの名投手とのプレーボール
戦争に断ち切られた青春
京都が生んだ、やさしい奇跡

女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。
謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。

京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは--

今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない
青春の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る感動作2篇

第170回直木賞を遂に受賞!

目次
十二月の都大路上下(カケ)ル
八月の御所グラウンド

感想:この人の本を読むのは初めてで名前の読み方もわからなかった。
万城目を「まんじょうめ」と呼んでいたが「まきめ」だと後で知った。

内容に関しては紹介にある通り。
舞台が京都なので、所々に見知った地名が出てくるのも楽しい。
そして、御所にグラウンドがあるというのは初めて聞いた。
知らなかったわ~。

京都が舞台の話なのでそれだけでも楽しめるが、
内容的に霊が出てくる系のファンタジーで、それはそれで面白かった。
しかし話としては「十二月の都大路」のほうがまとまっていたと思う。
「八月の・・」はラストが読み手に任されているような
結末のぼやけた終わり方なのがちょっと残念だったかな。

また機会があればこの人の作品ももう少し読んでみよう。

以上
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「私の家では何も起こらない」 恩田陸 メディアファクトリー 2010/1/8発行

KADOKAWA HPの紹介文より:小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。ようこそ、恩田陸の幽霊屋敷へ!
小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語の数々。キッチンで殺しあった姉妹、少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年…。そして驚愕のラスト!

注:この本は2010年にメディアファクトリーから単行本として出版され、その後2016年に角川文庫として出版。単行本の紹介がなかったので、文庫本の紹介を載せる。

感想:丘の上の古い家での出来事が連作で収められている。
最初と最後の作品だけ同じ主人公(作家)だがそのほかはそれぞれ中心人物が違い、ほとんどが中心人物の語りで話が進む。
読んでいくと、この古い家はここで亡くなった人たちの幽霊が集まっている(残っている?)場所で、そこを買って暮らしていくと作家にその幽霊たちの思い出というか思念伝わってきてるというのが最後にわかる。
最初と最後以外は、時代が分からない。
そしてそれぞれかなり酷い死に方をして幽霊として家にいる話なので、正直あまり気持ちがよいものではないのだが、どこか夢の中の出来事のように書かれてると思えてしまう。

この作家の章のあと、附記という章があって、そこにこの連作を読んだ人物がいろいろと考察をしていく。という変わった章が設けられている。
そこで夢についていろいろと書かれているのだが、この小説は夢なのかと考えていく。
その中に「胡蝶の夢」が出てきて、それになぞらえて、この小説ももしかしたら誰かの夢なのかもしれない、あるいは自分自身も夢の中にいるのかもしれないと考えながら章が閉じる。(p198)

読み終えてみて、この作者は、もしかしてこういうホラー系の話を描く際に夢に何かしらのヒントを得てるんじゃないか? と思った。
前に読んだ「夢違」でも少し思ったが、作品を読んでいると時間や場所が失せいくような不思議な感覚になってしまう。
時間や出てくる人の不確かさなどがまるで夢幻に思えてしまうのでした。

そもそもこの物語の舞台がどこなのかもはっきりしない。読んでいると何となくイギリスなのかなとおもうような描写があったりするけど、どことは書かれていない。黒兎がこの丘にいるとか、クリスティの名前が出てくるとかでなんとなくそう思うのかもしれない。その不確かさも夢を思わせているのだろう。

面白かどうかでいえば首を捻ってしまうけど、話の内容より書き方が興味深い、不思議な作品でした。この作者のホラー系をもう一つ読んでみて夢が関係してるか見てみたいと思う。

以上
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