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ちりぬるをわか

日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

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「アリス殺し」 小林泰三 東京創元社 2013/9/20

東京創元社HPの内容紹介:
最近、不思議の国に迷い込んだアリスという少女の夢ばかり見る栗栖川亜理(くりすがわあり)。ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見たある日、亜理の通う大学では玉子(たまご)という綽名(あだな)の研究員が屋上から転落して死亡していた──その後も夢と現実は互いを映し合うように、怪死事件が相次ぐ。そして事件を捜査する三月兎と帽子屋は、最重要容疑者にアリスを名指し……邪悪な夢想と驚愕のトリック! 解説=澤村伊智

感想:こちらは今年の4月に借りた「ティンカーベル殺し」を含むシリーズの一作目の作品。
もともとこちらを先に読みたかったが、なかなか順番が回ってこないので先に目に入った「ティンカーベル」のほうを借りて読んだのだった。

それを今回、ようやく借りることが出来たのでした。
さすがに第一作目ということで、書き出しとか説明的な部分が丁寧だなあと思いながら読んでいた。
作品の流れとしてはシリーズだからなのだろう、
ティンカーベルと同じような構想になっていて、
夢の世界と現実の世界の二つで事件が起こるというもの。
そして夢の世界で死ぬと、現実でも何らかの事故にあって死ぬ。
それを何とかして止めようとして主人公たちが活躍する内容になってる。

ただ、作中でどんどんと人が死んでいく様がかなり悲惨で、
最後のほうは読むのが少し嫌になっていた。
ラストに大きなどんでん返しもある。
けれどそこへ至るまでの人物の亡くなり方があまりにも陰惨な事もあって、
どんでん返しかき消された感じがする。

あと、この「アリス・・」では「夢」だと思っているおとぎの世界が主で、
大学生活を送っている主人公たちのほうが、実は夢という設定にもなっている。
そういう世界観で締めくくられるのは「胡蝶の夢」のようでもあるなと思った。

ここに出てくる「夢」の世界は、「不思議の国のアリス」の世界なのだけど、
その中での出来事は夢というよりも悪夢であり
ミステリーというよりもホラーに近いと思った。
ということでいろんな意味でこわすぎるので、この人の作品を読むのはこれで終わりにしようと思ったのだった。

以上。
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「あの家に暮らす四人の女」 三浦しをん 中央公論社 2015/7/10 発行

帯より:
謎の老人の活躍としくじり。
ストーカー男の闖入?
いつしか重なり合う、生者と死者の声ーー
古びた洋館に住む女四人の日常は、
今日も豊かでかしましい。

「でも夢見たっていいじゃない。
 年取って死ぬまで、気の合う友達と楽しく暮しました。
 そんなおとぎ話があったっていいはず。」(同じく帯に書かれてる本文からの一小節)

感想:面白かった。帯にもあるようにこの話はおとぎ話なのだろう。
なので、カラスが語り掛けたり亡くなった人の霊(?)が出てきた、河童の置物が動いたりもする。
けれどそれでもいいのだと思えるほどの作品で、単純に楽しみながら読んでいけた。

四人の女というのは、古い洋館に暮らす刺繍作家の牧田佐知と母親の鶴代。そこへ佐知の友人の谷山雪乃と、雪乃の後輩の上野多恵美が来て一緒に暮らし始め、いろいろとハプニングがあるという物語。

佐知と鶴代は旧家のお嬢さんといったところで、ほとんど家にいて過ごしてる。佐知は外に出なくてよいということで刺繍作家になったような引きこもりがちな性格でもある。

そんな佐知のモノローグ。P185 
「むろん、おおかたの場合、佐知は納期に間に合うよう必死に作品を仕上げ、「気に行ってくれるひとがいるといいな」とおおらかに構えている。
だが、たまにーー弱気になった時などーー叫びたくなる。私は遊びも恋も放擲して、毎日チクチクやっている! その気力と根性にちっとも気づこうともせず、「あら、かわいい」「オシャレ」などと気軽に刺繡を消費し、あまつさえ私の刺繍で身を飾って、街歩きやらデートやらを満喫するのか、おのれらは!
針一針にわが情念をこめて、おのれらの魂に直接刺繍してやりたい。
己らのたましいから噴き出す志々雄で白糸を染め、ものすごくリアルのな髑髏を刺繍してやりたい!
と思っても、そんなことは叫べないし口に出して言えないのが佐知なのである。」
ここ、思いっきり笑いました。
でもこのうっぷんのたまった感じが何となくわかるような気持にもなるのだよねえ。

この他にもいろいろと面白ところがあるのだけど、それは読んでのお楽しみ。

さらに言えば、この作品は細雪の4人姉妹の影響があるとか、ところどころでムーミンの話が出てきたり、あともしかしたらだけど、とあるマンガの影響もあるんじゃないかなと思えるセリフが出てきて、あれ?っと思ったりした。

とにかく笑えるほど面白かった。
ミステリーが多かったので、たまにはこういう楽しいと思わせてくれる本は良いなあ^^。

以上
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「鴨とアヒルのコインロッカー」 伊坂幸太郎 東京創元社 2003/11/25発行

創元社HPの内容紹介より:【第25回吉川英治文学新人賞受賞】
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は――たった1冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 

注目の気鋭が放つ清冽な傑作。解説=松浦正人

感想:伊坂幸太郎の2冊目。
もともとこの本を読みたかったけど、なかなか順番が回ってこなくて先に別の作品(ホワイトラビット)を読んだのだった。
そしてこの本も、ホワイトラビットと同じような構造をしている。
2つの時系列、2年前と現在が交互に出てきて最後に現在で物語が完結するというスタイル。
それはそれで面白いし、そこにもトリックがあって、最後に「えっ???」と思わせてくれる。

主な登場人物は現代で一応主人公らしい大学生になりたての椎名(男)と同じアパートに住んでいる河崎という男性。河崎が本屋を襲わないかと、引っ越してきた当日に声を掛けられるところから始まる。
そして二年前の物語では、河崎、琴美 そしてブータンからの留学生のドルジが主な登場人物。
二年前の話は、ペットショップから逃げ出した犬を琴美とドルジが探すところから始まる。

この他に、二年前でも現在でも出てくる麗子というちょっと変わった登場人物もいる。琴美のバイト先のペットショップのオーナーでもある。
この女性がいなければ物語が完結しなかったのも確かなので、影の主役かもしれない。

ただ・・この中にあまり好きじゃない登場人物がいて、読んでいて少しイライラしてしまった。
というのが椎名と琴美。

椎名は地方から出てきて慣れていない場所での生活で、まるで周囲から自分が見下されているように感じながら過ごしているのがどうも苦手。
琴美は後で事件に巻き込まれてしまうのだが、そこに至るまでの警戒心の薄さ、自分は大丈夫だろうと思い込みたいという気持ちが、とてもハラハラ、そしてイライラさせられる。

この二人のキャラクターは、実際にもいそうな感じだし、逆に河崎の突拍子もない言動や、麗子の無表情な態度のほうが、あるいは目につくのかもしれないとは思うんだけど、むしろその二人がいないと物語が成立しないというのもあるので、そこは楽しめるんだけどなあ。

作品自体は面白かった。けど椎名と琴美の二人のキャラクターで面白さが何割引きかになってしまった気がした(笑)。

苦手なタイプの登場人物だと、本だと分かっていても気に障るようです。
これはこれで新しい発見だわ^^;。
少し前の「臨床真理」の主人公もイライラしてしまったけど、あれは臨床心理士という立場を逸脱してることに対して。そして、そういうあり得ない描写をした作者に対しても・・かな?
まあ、あの話は無かったということで(笑)。

以上
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