ちりぬるをわか
日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。
「サエズリ図書館のワルツさん 2」 紅玉いづき 東京創元社 2023/6/30 初版
内表紙より:戦争の影響と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。“特別保護司書官“のワルツさんが代表を務める、本を無料で貸し出すサエズリ図書館を舞台に、本を愛し本に導かれた人々の物語が始まるーー。
就職活動に全敗し、希望していた専門職の試験も体調不良で棄権してしまったチドリさん。自信を失った彼女は、鮮やかな職人技をもつ老図書修復家に魅せられた後、サエズリ図書館で彼と再会するが・・・。
図書修復家達が再出発する中編、ワルツさんと電子図書館司書との対立を描く短編や、書き下ろしほかを含めたシリーズ第2弾!
感想:中編は「サエズリ図書館のチドリさん」という題がついている。ここに出てくるチドリさんの体調の悪さというのが、なんとなく自分の頭が痛くでうだうだしてる感じにも似ていて、なんだか親近感があった(笑)。
それはさておいて・・
物語はここに出てくる老図書修復家の思いがかなりのウエイトを占めているように感じた。曰く、自分は生きるために仕事をしてきたが、戦争で荒廃した世界の中、紙の本が滅んでしまおうとしているこの時にあって、自分がやってきたことは何だったのか。無駄なことばかりやってきたのか。こんなことでは生きている意味もない。いっそ戦争で死んでしまっていればよかったとまで言う。
弟子してほしいチドリさんに対しても、もう本は終わりだ、弟子はとらないというばかり。
それでも最後にチドリさんは老図書修復家のもとで働くことになるのだが・・・。
(P212より)
「世界は遠からず終わるかもしれない。
それでもいいと、チドリさんは思った。
世界は終わるとしても、今の自分は明日を生きなければいけない。世界が終わるとしても。
終わる世界に、本が、残るかもしれない。
命の限り、本を直せば。誰かがそのあとを、つないでくれるかもしれない。そのためには、先生を、一人にするわけにはいかないのだ。」
これって、お話の中だけではなくて、今の現実の世界もそうなのかもしれない。ここでは本が題材だけど、自分がやってきたことって、そうやってどこかに繋がっていけるのかぁ、なんて思ったりしてしまったのだ。
このお話があるからだと思うけど、サエズリの1巻目よりも身近に感じて色々と考えさせられました。
以上
内表紙より:戦争の影響と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。“特別保護司書官“のワルツさんが代表を務める、本を無料で貸し出すサエズリ図書館を舞台に、本を愛し本に導かれた人々の物語が始まるーー。
就職活動に全敗し、希望していた専門職の試験も体調不良で棄権してしまったチドリさん。自信を失った彼女は、鮮やかな職人技をもつ老図書修復家に魅せられた後、サエズリ図書館で彼と再会するが・・・。
図書修復家達が再出発する中編、ワルツさんと電子図書館司書との対立を描く短編や、書き下ろしほかを含めたシリーズ第2弾!
感想:中編は「サエズリ図書館のチドリさん」という題がついている。ここに出てくるチドリさんの体調の悪さというのが、なんとなく自分の頭が痛くでうだうだしてる感じにも似ていて、なんだか親近感があった(笑)。
それはさておいて・・
物語はここに出てくる老図書修復家の思いがかなりのウエイトを占めているように感じた。曰く、自分は生きるために仕事をしてきたが、戦争で荒廃した世界の中、紙の本が滅んでしまおうとしているこの時にあって、自分がやってきたことは何だったのか。無駄なことばかりやってきたのか。こんなことでは生きている意味もない。いっそ戦争で死んでしまっていればよかったとまで言う。
弟子してほしいチドリさんに対しても、もう本は終わりだ、弟子はとらないというばかり。
それでも最後にチドリさんは老図書修復家のもとで働くことになるのだが・・・。
(P212より)
「世界は遠からず終わるかもしれない。
それでもいいと、チドリさんは思った。
世界は終わるとしても、今の自分は明日を生きなければいけない。世界が終わるとしても。
終わる世界に、本が、残るかもしれない。
命の限り、本を直せば。誰かがそのあとを、つないでくれるかもしれない。そのためには、先生を、一人にするわけにはいかないのだ。」
これって、お話の中だけではなくて、今の現実の世界もそうなのかもしれない。ここでは本が題材だけど、自分がやってきたことって、そうやってどこかに繋がっていけるのかぁ、なんて思ったりしてしまったのだ。
このお話があるからだと思うけど、サエズリの1巻目よりも身近に感じて色々と考えさせられました。
以上
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「サエズリ図書館のワルツさん」 紅玉いづき 創元推理文庫 2023/05/31
中表紙より:世界情勢の変化と電子書籍の普及におり、紙の本が貴重な文化財となった近未来。そんな時代に、本を利用者に無料で貸し出す私立図書館があった。
“特別保護司書官“のワルツさんが代表を務める、さえずり町のサエズリ図書館。
今日もまた、本に特別な想いを抱く人々がサエズリ図書館を訪れる—。
本と無縁の生活を送っていた会社員、娘との子ヒョリを感じる図書館常連の小学校教師、本を愛した祖父との思い出に縛られる青年など、彼らがワルツさんと交流し、本を手にした時に、訪れる奇跡とは。
書籍初収録短編を含む本と人の奇跡を描いた前節のシリーズ第1弾、待望の文庫化。
感想:読み始めは世界観が良くわからないのと、短編集だという思い込みがあったのでピンとこなかった。しかし、本に対する作者の想いが主人公のワルツさんを通して描かれているのは良く伝わってきた。
近未来というのはわかるのだけど、パッと想像するような文明的な近未来ではないのがこの物語の大きな要素で、それに関しても読み進めるほどにわかってくる。
読み終えて感じたのは描かれてる本への想い以上に、背景的に描かれてきた世界観の恐ろしさだろうか。いわゆる第三次世界対の後の世界、それとワルツさんの秘密が物語の進行と共に少しずつ明かされていくのは小説というよりもSFだなあと思った。
0この続きの「サエズリ・・・2」を続けて借りるのでこの先の物語も楽しみ。
以上
中表紙より:世界情勢の変化と電子書籍の普及におり、紙の本が貴重な文化財となった近未来。そんな時代に、本を利用者に無料で貸し出す私立図書館があった。
“特別保護司書官“のワルツさんが代表を務める、さえずり町のサエズリ図書館。
今日もまた、本に特別な想いを抱く人々がサエズリ図書館を訪れる—。
本と無縁の生活を送っていた会社員、娘との子ヒョリを感じる図書館常連の小学校教師、本を愛した祖父との思い出に縛られる青年など、彼らがワルツさんと交流し、本を手にした時に、訪れる奇跡とは。
書籍初収録短編を含む本と人の奇跡を描いた前節のシリーズ第1弾、待望の文庫化。
感想:読み始めは世界観が良くわからないのと、短編集だという思い込みがあったのでピンとこなかった。しかし、本に対する作者の想いが主人公のワルツさんを通して描かれているのは良く伝わってきた。
近未来というのはわかるのだけど、パッと想像するような文明的な近未来ではないのがこの物語の大きな要素で、それに関しても読み進めるほどにわかってくる。
読み終えて感じたのは描かれてる本への想い以上に、背景的に描かれてきた世界観の恐ろしさだろうか。いわゆる第三次世界対の後の世界、それとワルツさんの秘密が物語の進行と共に少しずつ明かされていくのは小説というよりもSFだなあと思った。
0この続きの「サエズリ・・・2」を続けて借りるのでこの先の物語も楽しみ。
以上
十角館の殺人 <新装改訂版> 綾辻行人 講談社文庫 1987/9 新装改訂版は2007/10/16
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける! 1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。(講談社文庫)
感想:綾辻行人の本を読むのは2冊目だと思う。一冊目に読んだ本がホラーだったので、余りに強烈過ぎて次を読む気がしなかったのだ。
という経緯があったの、この作者の事を知らないままでいたが、面白い推理小説ということで図書館で予約したのが昨年の6月。それから実に9か月待ったわけですね。いや~、長かった(笑)。
本作が1987年のデビュー作だそうで、当時はかなり騒がれていたというのはあとがきや解説に書かれていた。1987年初版の割にはいまだに人気があって今でも順番待ちになっている。
物語の内容から1980年代後の人々の雰囲気をひしひしと感じるし、文体というか全体的に今風じゃないなあとは思った。
でも内容は今読んでも面白い推理小説。孤島で事件が起きて次々と人が亡くなっていくという、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」に似たような話ではあるが、それ以上に臨場感があるし、読み進むにつれて誰が犯人なんだろう? といちいち立ち止まって考えるのも楽しい。
そして孤島での登場人物がすべていなくなったあとでのどんでん返しもアッと言わされた。
そこには叙述的なトリックというか、読み手の思い込みもあったりして、え~~~~っと思ってしまうんだろうなあ。
まあ、確かに面白かったので、デビュー当時の良しゴタゴタがあったというあとがきと解説はスルーした。
作品自体はとても楽しめたのでそれで良し^^。
以上
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける! 1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。(講談社文庫)
感想:綾辻行人の本を読むのは2冊目だと思う。一冊目に読んだ本がホラーだったので、余りに強烈過ぎて次を読む気がしなかったのだ。
という経緯があったの、この作者の事を知らないままでいたが、面白い推理小説ということで図書館で予約したのが昨年の6月。それから実に9か月待ったわけですね。いや~、長かった(笑)。
本作が1987年のデビュー作だそうで、当時はかなり騒がれていたというのはあとがきや解説に書かれていた。1987年初版の割にはいまだに人気があって今でも順番待ちになっている。
物語の内容から1980年代後の人々の雰囲気をひしひしと感じるし、文体というか全体的に今風じゃないなあとは思った。
でも内容は今読んでも面白い推理小説。孤島で事件が起きて次々と人が亡くなっていくという、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」に似たような話ではあるが、それ以上に臨場感があるし、読み進むにつれて誰が犯人なんだろう? といちいち立ち止まって考えるのも楽しい。
そして孤島での登場人物がすべていなくなったあとでのどんでん返しもアッと言わされた。
そこには叙述的なトリックというか、読み手の思い込みもあったりして、え~~~~っと思ってしまうんだろうなあ。
まあ、確かに面白かったので、デビュー当時の良しゴタゴタがあったというあとがきと解説はスルーした。
作品自体はとても楽しめたのでそれで良し^^。
以上