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ちりぬるをわか

日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

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「ネバーランド」 恩田陸 集英社文庫 2000/7

裏表紙より:舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省して行く中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。
人気のない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになっていく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。

感想:恩田陸の学園ものということで借りた本。ミステリーやホラーより、やっぱりしっくりとくる気がする。
作者もあとがきで、「ネバーランド」はホームグラウンドに帰ってきたようアットホームな気分で書くことができた。」と書いているので、しっくりくる感じが作品に漂ってるのかもしれない。

ただし、アットホームな内容では決してなくて、4人それぞれが抱える秘密あるいは闇といっていいようなものが告白される。それを受けいれたことで4人がそれぞれに次に進める、成長を遂げていく。

同じあとがきのなかで、「当初の計画では『トーマの心臓』をやる予定だった」ともあって、なるほど途中の話はそういうそういう流れから出てきたのかなとも思えた。
(トーマの心臓というのは、萩尾望都が70年代に描いたのマンガで男子校での物語)

4人の秘密というのが、このころの自分の生活とはまるでかけ離れたものなので、今ってそういうものなのかな? もしかしたら自分だけがかけ離れた時間を送っていたのかもしれないと思いなおした。
おそらく自分だけが、時代以上に遅れていたんだろうなあ(笑)。

タイトルのネバーランドは、大人には入れない、
でも、どんな大人もかつてはいたはずの、
10代の彼らがその時だけ過ごせた場所なのだろう。

以上

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「鹿男あをによし」 万城目学 幻冬舎文庫 2010/4/10

裏表紙より:大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。ほんの気休めのはずだった。英気を養って研究室に戻るはずだった。渋みをきかせた中年男の声で鹿がはなしかけてくるまでは。
「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」。彼に下された謎の指令とは? ことを舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー。


感想:読み始めてしばらく、「おれ」が女子高に赴任して数日の間の出来事が、
まるで夏目漱石の「坊ちゃん」を準ったような展開で、あまり面白いとは思えなかった。
とりあえず読み進めていって
「おれ」が弱小剣道部の顧問になるあたりから面白くなってきた。

物語の冒頭から出てくる堀田という生徒が何かカギになると思っていたが、途中からものすごい活躍をする。
女子高が集まって大和杯という競技会が行われ、
そこで剣道部(堀田)が大活躍をするあたりでかなり引き込まれ
そのあとは一気に読み切ってしまった。

ラスト近くで堀田がさらに重要な人物であるのがわかる。
初めは「おれ」にいい顔をしなかった堀田だが、それもなぜだか分かるし
いろいろな伏線が回収されるのも良い終わり方だった。
最後のさいごで「ああ、堀田が良い子でよかった」と思えたのでした。

以上
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「三日月邸花図鑑」花の城のアリス 白川紺子 講談社タイガ 2019/9/18

裏表紙より:
「庭には誰も立ち入らない事」――光一の亡父が遺した言葉だ。
広大な大名庭園『望城園』を敷地内に持つ、江戸時代に藩主の別邸として使われた三日月邸。光一はそこで探偵事務所を開業した。
ある日、事務所を訪れた不思議な少女・咲は『半分この約束』の謎を解いてほしいと依頼する。彼女に連れられ庭に踏み入った光一は、植物の名を冠した人々と、存在するはずのない城を見る。

感想:何となくタイトルに惹かれて借りた本だったが、少し読み進めるとこれでもかというくらいに植物の名とその細かい描写が出てくることにとても惹かれた。

山桜、楓、桔梗、凌霄花、秋明菊、万両、庭七竈。これらは光一の亡くなった父のスケッチブックに描かれた植物。
ここの、江戸時代からの古い屋敷にある庭が大きなウエイトを占めていて、
出てくる植物も重要な役がある。

「外側の濠に沿って、丸く刈り込んだ躑躅が並んでいる。花の盛りは過ぎて、赤紫の花が緑のあいまにまばらに咲いていた。色褪せた花弁が地面に落ちている。その手前には楓、松に柏と、新緑が午前の白い陽に照り映えて清々しい。濠の向こうに視線を向ければ、木賊が生垣代わりにぐるりと巡らされている。その奥には白い花をつけた山法師がひっそりと佇み、梶の木や栴檀の姿も見える。谷空木が紅色の花を重たげに枝に連ねているのが目に残った。」

こんな具合に、庭の一部を描写してるのだけど、
出てくる植物名が全部漢字表記になってるのは日本庭園だからなのか。

書き出していたらキリがないけど、
この本に出てきたほとんどの植物には馴染があるので、
一つひとつの描写に頷いてしまうのでした。

物語は、光一が咲の依頼を解き明かすために庭に入るところから始まって、
最後は咲が何者なのかを突き止めるまで。

随所に漂う歴史ロマン的な香りも重要な要素になってます。
もちろんこの物語の中だけの歴史なのでしょうけど、
いろいろと練られた作品でもありますねえ。
こういうのは今まで読んだことなかったから面白かった。

話の内容も面白かったけど、たくさんの植物にも惹かれたのかも(笑)。

ミステリーというより和風ファンタジーかな。
調べてみたらこの作者さん結構いろいろと本を出してるのでびっくりした。
またタイミングが合えば手に取るかなあ。

以上
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