ちりぬるをわか
日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。
「銀河不動産の超越」 森博嗣 文藝春秋 2008/5/30発行
文藝春秋単行本帯より:危険を避け、できるだけ頑張らずにすむ道を吟味し、最小限の力で人生を歩んできた高橋青年。彼の運命を変えたのは、入社した「銀河不動産」だった。
“省エネ青年“の運命がある日一変
講談社文庫版の紹介文:気力と体力不足の高橋が、やっと職を得たのは下町の「銀河不動産」。頑張らずに生きる――そんな省エネ青年を訪れる、奇妙な要望をもったお客たち。彼らに物件を紹介するうちに、彼自身が不思議な家の住人となっていた……? 「幸せを築こうとする努力」が奏でる、やさしくあたたかい森ミステリィ組曲。(講談社文庫)
感想:前々から図書館で見かけるたびに気になっていたので、もしかしたら気軽に読めるかなと思って借りた本。
まあ、色々とツッコミどころはあるけど、さらっと読めてところどころクスっと笑える本。読んでいて笑える本に出会ったのは初めてかもしれない? まあ、それくらい面白かった。
とんでもない人々が出てきて、とんでもない展開になっていくのだけど、それはまるでコメディドラマを見てるような感じにもなった。
でも一番思ったのは、これって「長靴を履いた猫」みたい話だな〜、と言うことでした。
長靴を履いた猫に出てくる男が、猫の知恵で言われるままに行動してどんどんと上手くいく。
それを思い出してしまった。
最後の方に出てくる、まあまあ良さげなセリフです。
「日々、きっかけはある。石ころのように、道すがら、どこにでも沢山落ちているものです。たまたまそれが自分の足に当たって、蹴飛ばしてしまう。立ち止まって、小石がころころと転がるのを眺める。そこに目を止めるんですな。けれども、まあ、多くは、すぐに目を逸らしてしまって、そのまま歩き続けるでしょう。そういうのがほとんどです。ところが、そこで一歩立ち止まったことで、もう人生は別のものになっている。立ち止まったことで、その先の信号で渡れなくなる。すると、乗りたい電車に乗れなくなる。しかたがないから時間を潰す。そこで誰かに出会うかもしれない。そうやって、どんどん違う人生になっていくのです。あの小さな小石がもし道い落ちていなかったら、今の人生にはならなかったってことになりますね」
「人はね、きっかけのせいで幸運を掴むのではない。(後略)」
「どういうわけは、人間というのはね、自分のせいにしたがらない。良いことも、悪いことも、自分の力によって引き起こされたものだとは思わないようにしようとする。神様や悪魔を作って、これは運命だと思いたがるものなのです。さっきは石ころのせいで人生が変わる、なんて話をしましたが、もしその石ころがなくても、きっと別のきっかけを掴んでいたでしょう。多少早いか遅いかの誤差が現れるだけのことです」(pp259〜261)
このセリフが締めくくってくれるようなお話でした。
さて、この話に猫は出てこないけど、みんなが「猫を被ってる」と終わりの方に書かれてる。
なのでまるっきり猫が出てこないわけじゃないかも(笑)。
以上
文藝春秋単行本帯より:危険を避け、できるだけ頑張らずにすむ道を吟味し、最小限の力で人生を歩んできた高橋青年。彼の運命を変えたのは、入社した「銀河不動産」だった。
“省エネ青年“の運命がある日一変
講談社文庫版の紹介文:気力と体力不足の高橋が、やっと職を得たのは下町の「銀河不動産」。頑張らずに生きる――そんな省エネ青年を訪れる、奇妙な要望をもったお客たち。彼らに物件を紹介するうちに、彼自身が不思議な家の住人となっていた……? 「幸せを築こうとする努力」が奏でる、やさしくあたたかい森ミステリィ組曲。(講談社文庫)
感想:前々から図書館で見かけるたびに気になっていたので、もしかしたら気軽に読めるかなと思って借りた本。
まあ、色々とツッコミどころはあるけど、さらっと読めてところどころクスっと笑える本。読んでいて笑える本に出会ったのは初めてかもしれない? まあ、それくらい面白かった。
とんでもない人々が出てきて、とんでもない展開になっていくのだけど、それはまるでコメディドラマを見てるような感じにもなった。
でも一番思ったのは、これって「長靴を履いた猫」みたい話だな〜、と言うことでした。
長靴を履いた猫に出てくる男が、猫の知恵で言われるままに行動してどんどんと上手くいく。
それを思い出してしまった。
最後の方に出てくる、まあまあ良さげなセリフです。
「日々、きっかけはある。石ころのように、道すがら、どこにでも沢山落ちているものです。たまたまそれが自分の足に当たって、蹴飛ばしてしまう。立ち止まって、小石がころころと転がるのを眺める。そこに目を止めるんですな。けれども、まあ、多くは、すぐに目を逸らしてしまって、そのまま歩き続けるでしょう。そういうのがほとんどです。ところが、そこで一歩立ち止まったことで、もう人生は別のものになっている。立ち止まったことで、その先の信号で渡れなくなる。すると、乗りたい電車に乗れなくなる。しかたがないから時間を潰す。そこで誰かに出会うかもしれない。そうやって、どんどん違う人生になっていくのです。あの小さな小石がもし道い落ちていなかったら、今の人生にはならなかったってことになりますね」
「人はね、きっかけのせいで幸運を掴むのではない。(後略)」
「どういうわけは、人間というのはね、自分のせいにしたがらない。良いことも、悪いことも、自分の力によって引き起こされたものだとは思わないようにしようとする。神様や悪魔を作って、これは運命だと思いたがるものなのです。さっきは石ころのせいで人生が変わる、なんて話をしましたが、もしその石ころがなくても、きっと別のきっかけを掴んでいたでしょう。多少早いか遅いかの誤差が現れるだけのことです」(pp259〜261)
このセリフが締めくくってくれるようなお話でした。
さて、この話に猫は出てこないけど、みんなが「猫を被ってる」と終わりの方に書かれてる。
なのでまるっきり猫が出てこないわけじゃないかも(笑)。
以上
PR
「訪問者」 恩田陸 祥伝社 2009/5/20
「そで」(カバーの折り返し部分)より:
山中にひっそりと佇む古い洋館ーー。
三年前、近くの湖で不審死を遂げた実業家朝霞千紗子が建てたその館に、朝霧家の一族が集まっていた。
千紗子に育てられた映画監督峠昌彦が急死したためであった。
晩餐の席で昌彦の遺言が公開される。
「父親が名乗り出たら、著作権継承者とする」
孤児だったはずの昌彦の実父がこの中にいる?
一同に疑惑が芽生える中、闇を切り裂く悲鳴が!
冬雷の鳴る屋外で見知らぬ男の死体が発見される。
数日前、館には「訪問者に気を付けろ」という不気味な警告文が届いていた・・・。
果たして「訪問者」とは誰か? 千紗子と昌彦の死の謎とは?
そして、長く不安な一夜が始まるが、その時、来客を告げるベルが鳴ったーー。
嵐に閉ざされた山荘を舞台に、思考のストーリー・テラーが贈る傑作ミステリー。
感想:推理サスペンス物。各章の1行目が「・・を告げるベルが鳴った・・」で始まる。
そして全部で六章あるそれぞれの題が全部ひらがなで書かれていて、それが童話や絵本のタイトルになってる。(一作だけ知らない絵本があったが、検索してみた)章のタイトルがその内容を暗示させるものになってる。
始まりは、昌彦の遺書をもった弁護士が館を訪れて、誰が昌彦の父親なのかの話になるが、ベルがなる度にどんどんと不穏な出来事が起きていく。
誰が何のために? そして千紗子と昌彦は本当に事故で亡くなったのか?と言う話に広がっていく。
面白い展開だったけど、途中の訪問者が突然探偵役になって推理が始まるのがちょっと唐突かなあと思えた。
しかし、最後のどんでん返しが今まで読んだ事がない展開だったので、『うわ〜、やられた』と思ってしまった。(笑)
恩田陸ってこういう推理ものも書くんだなあと思った作品でした。
以上。
「そで」(カバーの折り返し部分)より:
山中にひっそりと佇む古い洋館ーー。
三年前、近くの湖で不審死を遂げた実業家朝霞千紗子が建てたその館に、朝霧家の一族が集まっていた。
千紗子に育てられた映画監督峠昌彦が急死したためであった。
晩餐の席で昌彦の遺言が公開される。
「父親が名乗り出たら、著作権継承者とする」
孤児だったはずの昌彦の実父がこの中にいる?
一同に疑惑が芽生える中、闇を切り裂く悲鳴が!
冬雷の鳴る屋外で見知らぬ男の死体が発見される。
数日前、館には「訪問者に気を付けろ」という不気味な警告文が届いていた・・・。
果たして「訪問者」とは誰か? 千紗子と昌彦の死の謎とは?
そして、長く不安な一夜が始まるが、その時、来客を告げるベルが鳴ったーー。
嵐に閉ざされた山荘を舞台に、思考のストーリー・テラーが贈る傑作ミステリー。
感想:推理サスペンス物。各章の1行目が「・・を告げるベルが鳴った・・」で始まる。
そして全部で六章あるそれぞれの題が全部ひらがなで書かれていて、それが童話や絵本のタイトルになってる。(一作だけ知らない絵本があったが、検索してみた)章のタイトルがその内容を暗示させるものになってる。
始まりは、昌彦の遺書をもった弁護士が館を訪れて、誰が昌彦の父親なのかの話になるが、ベルがなる度にどんどんと不穏な出来事が起きていく。
誰が何のために? そして千紗子と昌彦は本当に事故で亡くなったのか?と言う話に広がっていく。
面白い展開だったけど、途中の訪問者が突然探偵役になって推理が始まるのがちょっと唐突かなあと思えた。
しかし、最後のどんでん返しが今まで読んだ事がない展開だったので、『うわ〜、やられた』と思ってしまった。(笑)
恩田陸ってこういう推理ものも書くんだなあと思った作品でした。
以上。
「すみれ荘ファミリア」 凪良ゆう 講談社タイガ(文庫) 2021/5/14
裏表紙より: 下宿すみれ荘の管理人を務める一悟は、気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。そこに、芥(あくた)と名乗る小説家の男が引っ越してくる。彼は幼い頃に生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。真っ直ぐで言葉を飾らないあくたと時を過ごすうち、周囲の人々の秘密と思わぬ一面が顕になっていく。愛は毒か、それとも救いか。本屋大賞受賞作家が紡ぐ家族の物語。
感想:凪良ゆう作品で、2冊目の読了。前回の「わたしの美しい庭」と同じような構成かなと思いながら読んでゆく。主人公の一悟とか登場する人物が、近しい住人というのが似ているし、話の展開もそこに出てくる住人の話で章が進んでいく。どうしても「わたしの・・」と比べてしまいながら読んでしまう。
ところがこちらはところどころ不穏な動きや言葉のやりとりが鋭い。どんな人も隠してる面がある、というようなことが作中で書かれてるが、少し前の言葉で言うなら心の闇だ。それが物語を進めている。
「わたしの・・」がほんわり系に近いとすると、こちらはサスペンス的な要素がたくさん含まれていて、展開が気になり、一気に読んでしまった。
物語を通して、スマホやらSNSやら裏アカなど、いかにも現代を象徴するようなことがいくつも出てくる。そしてラノベやらPMSやらテレビ業界の話やらネグレクトやらがそれぞれが章のキーになって話が展開するのが現代なんだな〜と感じる。
それについていけない主人公、一悟の抱えてるものも全体を通して少しずつ出てくるのもうまく書いてるなあという感じ。
それでもサクサクと読めるところも今風なんだろうなあ。
以上
PS この作者の本はもう一冊「神様のビオトープ」という本を貸出予約を入れてある。
元々こちらを読みたくて予約を入れたけど、まだ1、2ヶ月先になりそう。
裏表紙より: 下宿すみれ荘の管理人を務める一悟は、気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。そこに、芥(あくた)と名乗る小説家の男が引っ越してくる。彼は幼い頃に生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。真っ直ぐで言葉を飾らないあくたと時を過ごすうち、周囲の人々の秘密と思わぬ一面が顕になっていく。愛は毒か、それとも救いか。本屋大賞受賞作家が紡ぐ家族の物語。
感想:凪良ゆう作品で、2冊目の読了。前回の「わたしの美しい庭」と同じような構成かなと思いながら読んでゆく。主人公の一悟とか登場する人物が、近しい住人というのが似ているし、話の展開もそこに出てくる住人の話で章が進んでいく。どうしても「わたしの・・」と比べてしまいながら読んでしまう。
ところがこちらはところどころ不穏な動きや言葉のやりとりが鋭い。どんな人も隠してる面がある、というようなことが作中で書かれてるが、少し前の言葉で言うなら心の闇だ。それが物語を進めている。
「わたしの・・」がほんわり系に近いとすると、こちらはサスペンス的な要素がたくさん含まれていて、展開が気になり、一気に読んでしまった。
物語を通して、スマホやらSNSやら裏アカなど、いかにも現代を象徴するようなことがいくつも出てくる。そしてラノベやらPMSやらテレビ業界の話やらネグレクトやらがそれぞれが章のキーになって話が展開するのが現代なんだな〜と感じる。
それについていけない主人公、一悟の抱えてるものも全体を通して少しずつ出てくるのもうまく書いてるなあという感じ。
それでもサクサクと読めるところも今風なんだろうなあ。
以上
PS この作者の本はもう一冊「神様のビオトープ」という本を貸出予約を入れてある。
元々こちらを読みたくて予約を入れたけど、まだ1、2ヶ月先になりそう。