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ちりぬるをわか

日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

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「朝日のようにさわやかに」 恩田陸 新潮社 2007/3/30発行

新潮社HPより:葬式帰りの中年男女四人が、居酒屋で何やら話し込んでいる。彼らは高校時代、文芸部のメンバーだった。同じ文芸部員が亡くなり、四人宛てに彼の小説原稿が遺されたからだ。しかしなぜ……(「楽園を追われて」)。ある共通イメージが連鎖して、意識の底に眠る謎めいた記憶を呼び覚ます奇妙な味わいの表題作など全14編。ジャンルを超越した色とりどりの物語世界を堪能できる秀逸な短編集。

感想:本の紹介文にあるように色々なジャンルの短編の詰め合わせという感じで、次はどんな感じの内容なのだろうと楽しみながら読めた。

短編集なのでさっさと読み終えたが、なかなか面白かった。
結構ホラー系の話が多かったが、ホラーでは無いものもいくつかあって、ショートショートや不思議系の話なども。
それからHPにも書かれてる「楽園を追われて」はごく日常的な話で、中年男女が居酒屋で飲みながら高校生の頃を思い出して懐かしむだけの話。
なのに、最後にとても切なく感じたのは作者の力量なのかな。

本の最後に、その短編をどういう経緯で書いたのかの筆者コメントが書かれている。
読み終えてから、ああ、こういう事なんだとちょっとした答え合わせができる。

この人の本はこれが3冊目なのでどういうタイプの話を書くのかいまだによくわからない。
けれどこの短編集に含まれているさまざまなジャンルからしても、きっとマルチにかける人なんだろうなあ。もう少し色々と読んでみようかな。

以上
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「夢違」 恩田陸 角川書店 2018年11月15日発行

Kadokawaのサイトより:戦慄と驚愕の幻視サスペンス!
「何かが教室に侵入してきた」。学校で頻発する、集団白昼夢。夢が記録されデータ化される時代、「夢判断」を手がける浩章のもとに、夢の解析依頼が入る。こどもたちの悪夢は現実化するのか?

こちらはグーグルブックスの紹介文より:夢の映像を記録した「夢札」、それを解析する「夢判断」を職業とする浩章のもとに、奇妙な依頼が舞い込む。各地の小学校で頻発する、集団白昼夢。浩章はパニックに陥った子供たちの面談に向かうが、一方で亡くなったはずの女の影に悩まされていた。日本で初めて予知夢を見ていると認められた、結衣子。災厄の夢を見た彼女は―。 ...

感想:個人がみた夢を装置を通して他の人が映像として見られ、それを利用して問題を解決する世界の物語。
しかし、そこから何が得体の知れないことが起こっていくというホラー的作品。
この物語自体がまるで夢の中の出来事のように色々と不思議な不気味な事が起こる。それに主人公が右往左往していく中で話が進むのでスッキリしない展開だと思われても仕方がないかも。

しかしながら、個人的にはかなり興味深かった。
けっこう分厚い本なので少しずつ読んでいったが、読み終わってみると、なんだかこの流れで良いのだと思える不思議さ。まるで夢を見返しているような話だなと思った。

分厚い本なのだが、4分の3くらいのところで怪物が出てくる映画の話が出てくる。それがまるっきりこの物語自体に当てはまるというメタな構造になってる。
「・・あれはどういうバケモノだったんでしょうね。全貌は、とうとう最後まで明かされなかったじゃないですか」というのはこの物語の夢に出てくるバケモノにも通じて、その正体は最後まで明かされない。
「・・・ある日突然、世界がそれまでに知っていたものとは変わってしま待っている。いつのまにか、その変わってしまった世界の中にいることに気付くんだけど、その中にいると、果たしてその世界がどういうものか、最後までわからないんじゃないでしょうか」
「時々一部分だけ姿を現すものが、その世界の一部だとわかるだけ・・しかもその部分はこれまで見たことがない、見知らぬ異形のもの。だから目にするたびに動転して、あたふたして、どう対応していいのか分からない」 P350〜351抜粋

この物語がそのままこの通りのものになっている。
そういうホラー作品。
そしてこのセリフはそのまま全般的に夢にも当てはまるなあとも思える。
でも怖い夢ばかり見るわけじゃないとは思うので、あてはまるのは怖い夢に限るのかな?
夢判断のフロイトや夢分析のユングがこれをみたら喜んだかもしれないと思ってしまった。特にラストあたりではユングに近い見解が書かれてるのかな~って思ったんだけど。

ところで、タイトルの「夢違」というのは、悪い夢を良い夢に違えてくれる観音菩薩のことを指してます。奈良・法隆寺の夢違観音が有名で、この物語の最後もそこが舞台になってます。
いつか見に行きたいね^^。

以上。
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「わたしの美しい庭」 凪良ゆう ポプラ社 2019/12/2発行

ポプラ社のHPより:<内容紹介>
小学生の百音と統理はふたり暮らし。朝になると同じマンションに住む路有が遊びにきて、三人でご飯を食べる。
百音と統理は血がつながっていない。その生活を“変わっている”という人もいるけれど、日々楽しく過ごしている。
三人が住むマンションの屋上。そこには小さな神社があり、統理が管理をしている。
地元の人からは『屋上神社』とか『縁切りさん』と気安く呼ばれていて、断ち物の神さまが祀られている。
悪癖、気鬱となる悪いご縁、すべてを断ち切ってくれるといい、“いろんなもの”が心に絡んでしまった人がやってくるが――

感想:ちょっと変わった場所に住んでいる人々の日常の話か、ま、ありそうなと思いな読み始めた。
しかし少し違っていて、登場人物が、普通のように見えて、実はちょっと変わってるところからはじまる。続くそれぞれの章でそのひとwが失ったもの(人や仕事など)が語られ、そこからはなれられない故の生きづらさを抱えている。
そういった生きづらさが少し解き放たれて、自分を手に入れ始めるという物語だった。

それは特別な人だけでなく、誰しも同じなのかもしれない。

で、ここでの「失われた」というのは恋人だったりするわけで、各章でそれがなぞられてゆく。それがLGBTやら世間的な出来事やらで、そこにラインだったりが当たり前のように出てくるのが今らしい現代感なのかな。

まあ読みやすいお話だなと思ったが最後の登場人物の章「兄の恋人」で、それまで出てきた人たちが総出で、この章の主人にかかわることになる。
ここではうつになって仕事を辞めた登場人物が出てきて、その生きづらさが重い。でもそれを救うような登場人物たちのやり取りの中、少し自分を取り戻すようになる。そこで少しウルっと来てしまった。^^;

P270 統理が百音に「失うことやもってないことで得られるものもあるんだ」と話す場面があるが、この物語すべてはこの一言に凝縮されているのかもしれない。
うん、読み終えてみたら面白かったので、機会があれば同じ作者の本を読もうかとも思ったのでした。

以上
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