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ちりぬるをわか

日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

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「コンパス・ローズ」 アーシュラ・K・ ル=グウィン ちくま文庫 2013/02/10発行

ちくま書房HPより内容紹介:
高度に管理された世界で、反社会的科学者の夫と短い平穏な日々を過ごす「わたし」。一方、南大西洋と西部太平洋には新たな陸塊が海中から出現しつつあって…「ニュー・アトランティス」/精神異常を判定し、収容施設に送りこむSQテスト。世界中に広まったテストにより、被検者の半数が収容施設に…「SQ」/ジャンルを越えた20の短篇が紡ぎだす、「精神の海」を渡る航海者のための羅針盤。

感想:とても難しい内容でした。予備知識なしで読むと、これは何だ? というような内容の文章がみっちり詰まっていて、読んでも読んでもどこへも行きつかない感じ。上の紹介にあるように短編集なのだけど、色々なジャンルの作品が詰まっていて、あるものはSF、あるものはファンタジー、あるものは純文学的、あるものは寓話的だったりと次から次へと移り変わっていく。
本の最後に、訳者のあとがきと解説が載っていたので、それを見ながら読んでいくとわからないなりになんとなく納得できるものも出てきた。

う〜ん、上の内容紹介を先に読んでいれば、少しは違ったかもしれない。

もちろんそのまますっと入ってくる作品もいくつもあって、そういうのを読むと次はどんなのだろう? とつい読む進めて、また迷路にはまり込んだようになったり。今までとはかなり違う読書体験ができたように思う。

この20の短編の中で一番良かったのは「グラインのハープ」という作品。
グラインという少女がとても高級なハープを持って色々な土地を巡って曲を披露する途中、怪我をしハープも壊れてしまい旅ができなくなる。
その後、結婚してささやかな幸せを過ごしていたが、歳を取って、夫も亡くなる。
そのあと自分に何が残っているんだろう?と自問していくのです。
結婚して買ってもらったハープを弾く腕もなくなってしまった。
でも、まだ自分には歌うことができる、と思うのです。
かつてハープで演奏した曲を歌うことでまた自分自身を取り戻していこう、というあらすじです。
自問するところが特に良かったのは、自分がそういう歳になってるからかもしれないなあ。
この1作を読めただけでもこの本を手に取って良かったと思います。

もちろん他にも良い作品はありましたが、
なんだこれは〜もありましたと書いておきましょ^^;。

ル=グウィンという作者はけっこう好きなので、図書館で久しぶりに手にしたときはかなり嬉しかった。初めに読んだのが「ゲド戦記」のシリーズ。その次は村上春樹が翻訳した「飛び猫」シリーズの3冊だった。
てっきりファンタジー系の作家だと思っていたのだけど、その後、SFを一冊読んで、色々と書くのだなと思っていたが、この短編集はその「色々」をはるかに超えてました。(笑)

以上
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