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ちりぬるをわか

日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

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「かがみの孤城」 辻村深月 ポプラ社 2017年5月15日発行 

あらすじ:中学一年生になったばかりの「安西こころ」は同級生のいじめにより不登校になってしまう。フリースクールに通うことも出来ないまま家に引きこもる日々が続く。
そんな5月のある日、自室にある大きな鏡が光ると、こころは鏡の中に引き込まれてしまった。
鏡の中は城になっており、こころの他に6人の同じくらいの子供と、自らを「オオカミさま」と呼ぶオオカミのお面をつけた女の子がいた。
オオカミさまは7人に、この城には「願いの鍵」が隠されていて、見つけた人の願いを一つだけ叶えるという。しかし期限があり、毎日朝の9時から夕方の5時までに自分の部屋に戻ること、そして来年の3月30日までに見つけられない場合は、このまま元の状態に戻るとも。そして願いを叶えてしまうと、ここでの出来事は全て忘れてしまうのだと言った。
その語、7人はこの城にきて色々な話をする中お互いが何らかの関係があるようなことがわかってくる。そして最後に鍵をみつけるのか、見つけたら誰が願いを叶えるのかを先延ばしにしたまま時間がどんどんと過ぎていく。7人はむしろこのまま仲良くなった思い出を持ち帰りたいとも思い始めるのだった。
果たして、7人の関係性はどんなものなのか。そして鍵は見つかるのか、願いはどうなるのか。
そしてオオカミさまは何者で、どうして7人が呼ばれたのかもわかっていく。

雑感:登場人物の年齢的にもだけど、出版社から見ても中高生向きの小説だとは思うが、大人が読んでも面白い。
単行本では550ページほどもあるけど、とても読みやすいし一気に読める。謎解き的な要素もあるけど基本的にはファンタジー小説だろう。でもいじめなどが出てきて、こころが打ちのめされる様子とかはかなりきつい場面が書かれてるなあとも思う。だからこそ身近に感じられることもあるんだろうか。

感想を書くとネタバレになりそうなので一点だけ。
作中のフリースクールの喜多嶋先生がとてもよく描かれてる。この先生もラストで重要なキーパーソンだとわかって、うまくまとめられててるなと思った。

ちなみに、読んだ後でネットで検索して知ったのだけど、劇場アニメになってたり舞台でも演じられてたりと、かなり人気がある作品でした。

この作者の作品はまた読んでみようかな。
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「夜のピクニック」 恩田陸 新潮社 2004年7月発行

文庫本裏表紙より:高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するためにーー。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

感想:たかだか一晩の出来事を延々と書き綴っているのだけど、その中に登場人物の会話や思いがそれまでの色々なことを浮かび上がらせてくれる不思議な時間の物語。

こういった高校生活を送ったこともないので、なんとなく羨ましような気もする。この物語の中に貴子の友人で、アメリカで育った杏奈のことが出てくる。杏奈はすでにアメリカの大学へ入るために高校を去ってるが、この話のキーになる人物。

そんな杏奈のことを「あちこち細切れに世界を渡り歩いてきただけに、逆に日本的なシステムの高校の、一種理不尽にすら思える因習めいた伝説(歩行祭のこと)に、憧れを持っていたのだろう。」と書かれているのだけどその通りだと思ってしまった。

「みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。
 どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。」

その言葉通りこの歩行祭も特別なものになっていくわけなのだが、読み終えてみて、ああ、青春ってこんなのかな〜と思える特別さだと感じた。

色々と良い言葉がでてくるので二箇所書き写しておく。

「時間の感覚というのは、本当に不思議だ。
あとで振り返ると一瞬なのに、その時はこんなにも長い。1メートル歩くだけでも泣きたくなるのに、あんなに長い距離の移動が全部繋がっていて、同じ一分一秒の連続だったということが信じられない。
 それはひょっとするとこの1日だけではないのかもしれない。
 濃密であっというまだったこの一年へ、ついこのあいだ入ったばかりのような気がする高校生活や、もしかして、この先の一生だって、そんな「信じられない」ことの繰り返しなのかもしれない。
 恐らく、何年も先になって、やはr同じように呟くのだ。
 なぜ振り返った時には一瞬なのだろう。あの歳月が、本当に同じ1分1秒毎に、全て連続していたなんて、どうして信じられるのだろうか、と。」


「貴子は・・・
 体を動かすのは好きではないが、歩くのは好きだった。こんなふうに、高低差がなくて景色のよい場所をのんびり歩いているのは気持ちがいい。頭が空っぽになって、いろいろな記憶や感情が浮かんでくるのを繋ぎとめずほったらかしていると、心が解放されてどこまでも拡散しているような気がする。
中略
 日常生活は、意外に細々としたスケジュールに区切られていて、雑念が入らないようになっている。チャイムが鳴り、移動する。バスに乗り、降りる。葉を磨く。食事をする。どれも慣れてしまえば、深く考えることなく反射的にできる。
 むしろ、長時間連続して思考し続ける機会を、意識的に排除するようになっているのだろう。そうでないと、己の生活に疑問を感じてしまうし、いったん着物を感じるたら人は前に進めない。だから、時間をこきざみにして、さまざまな儀式を詰め込んでおくのだ。そうすれば、常に意識は小刻みに切り替えられて、無駄な思考の入り込む隙間がなくなる。」

以上
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「方舟」 夕木春央 講談社 2022/9出版

あらすじ:山中に埋められた船のような施設の中に閉じ込められた10人。なんとか脱出を考えて施設の中を探っていく中で一人が殺された。
さらにこの施設は、地下水が上がってきていて1週間で水没すると分かった。
施設の扉を開けるためには誰かが生贄にならなくてはいけない。その一人は殺人犯人であるべきだろうと誰もが思い始める。
水が少しずつ増してくるなか犯人探しが始まるが、第二第三の殺人が起きてしまう。犯人は残った7人の中に必ずいるという状況の中、犯人探しが進んでいく。
(あらすじは帯がなかったので自分で書いた)

プロローグの抜粋:『・・・助けを呼びたかったが、スマホは圏外だった。地下だから当たり前だが、地上に出られたとしても、ここは人里離れた山奥である。
  中略
僕らは生贄を選ばなくてはならない。そうしなければ、全員が死ぬことになる。どうやって選ぶのか? 死んでもいいのは、ー死ぬべきなのは誰か? それは彼を殺した人物以外にない。
・・タイムリミットまでおよそ一週間。それまでに僕らは殺人犯を見つけなければならない。』

感想:プロローグでj引き込まれて一気に読んでしまった。
途中でこの人が犯人ではと思う場面がいくつかある。
人数が限られているので犯人が誰かは見当がつきやすいのかも。

しかし脱出直前の場面がエピローグになっていて、そこで大どんでん返しが書かれている。
思わずゾクッとしてしまった。そして、すっかり犯人(作者)に騙されていたことに「しまったやられたっ!」と思ってしまったのだった。

タイトルの「方舟」は言わずと知れた旧約聖書のノアの方舟。
プロローグの前のページにも旧約聖書で、神が洪水をおこし人々を死に至らしめるなか、ノアを助けると契約する場面の文が載せられている。

このことをもっと頭入れてながら読むべきだったか。

もちろん物語の舞台として、山中の船に似た施設、そこに水が溜まってきて中の人が死ぬかという状況などがノアの方舟を連想させる。
しかしもっと細かいところで、水没まで一週間とかいうのもノアの方舟での(洪水の後、鳩を放って一週間たっても戻ってこなかったになぞらえてる?)関係があるのか? プロローグにある契約の内容がどうだとか、そういったこともこの推理作品を読むヒントになっていたのではと、読み終えてから気が付いたのだった。

う~ん、でも面白かった^^。
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