ちりぬるをわか
日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。
「天国旅行」 三浦しをん 新潮社 2010/3/25
新潮社HPより:
現実に絶望し、道閉ざされたとき、人はどこを目指すのだろうか。
すべてを捨てて行き着く果てに、救いはあるのだろうか。
富士の樹海で出会った男の導き、命懸けで結ばれた相手へしたためた遺言、前世の縁を信じる女が囚われた黒い夢、一家心中で生き残った男の決意──。
出口のない日々に閉じ込められた想いが、生と死の狭間で溶け出していく。
すべての心に希望が灯る傑作短編集。
感想:短編集の最後にこんな一文がある。
「本書は『心中』を」共通のテーマにした短編集である。「天国旅行」というタイトルおよび巻頭の歌詞は、THE YELLOW MONKEYの「天国旅行」(作詞 吉井和哉)より採らせていただきました。」
ということで、この本には心中、死者に関連した短編が七作収められている。
扱う題材が題材なので重さは否めないし、他の軽快な明るさがほとんど見られない。
こんな作品も書くのかなというのが感想です。
それぞれの話は重いけど、いろいろ考えてしまうし
そうして考えてみると、」なにかすっきりしない思いが浮かびあがってくる。
それは物語の登場人物たちは「本当にそれが行きつく先だったのか?」ということ。
そして、見方を変えれば別の生き方があったのかもしれないよね? という事。
それが一番濃く描かれているのが最後の「SINK」という短編だろう。
主人公が最後にこんなことを思う。
「新しい物語を紡いでもいいかもしれない。これから生きのびるために。記憶が消すことができないのなら、せめて都合よく改竄してみるのもいいかもしれない。」
それがすべての作品に共通することでもあるんだろうな。
読んで楽しくすっきりという本ではないと思う。
でもいろいろと作品の内容について考えるのにはちょうどいいくらいに重いかも(笑)。
以上