ちりぬるをわか
日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

「二百十番館にようこそ」 加納朋子 文藝春秋 2020年8月発行
帯より:就活に挫折し、親に愛想尽かされた俺の最後の居場所は小さな離島と、ネットゲームの世界にあった。
崖っぷちニート、島暮らし始めます。
ということでもう少し補足:オンライゲーム三昧のニートの「俺」は伯父さんの遺産である離島の建物を譲り受け、行ってみるとすでにそこで暮らさなくてはならない状況に追い込まれてしまう。島民わずか19名、しかもほとんどが老人という小さな島で、生活費を稼ぐために建物の空き部屋を下宿として貸すことを思いつく。
そうして一人二人とうまく生活でない若者がこの小さな島に集まって色々な交流が広がっていくという物語。
感想:この作品は2019年の間に雑誌に掲載されていたもので、比較的最近の若者事情?が描かれてる。この作者はそういう社会事情を取り入れた利するものも色々とあるようで、今回はニートとゲームオタクな世界が描かれている。
作者は1966年生まれとあるので、今時のゲーム事情とかかなり勉強したのかなあと思ってしまった。
最も作中に出てくるオンラインゲームはちょっと変わったやり込み型のゲームで何周でもできてしまうというのは作者の発想なのかな〜。まあ、そのゲームでのやり取りとか会話とかそういうのはオンラインゲーム特有でしょうね。そして背景にあるゲーム世界と主人公たちの現実世界が織り交ぜられて物語が進んでいく。
ゲームオタク、ニートな世界だけの話ではなく、館の住人たちは大きな転換点を越えて、この島の中(現実)で新しい世界を広げていく物語になっている。
因みに題名の二百十番はニートのもじりになってます。
作者は日常ミステリーとでもいうような書き手なので、物語の端々に出てくるちょっとした出来事が後々大きな鍵になるという書き方、そしてそれが読み手に明かされてそうだったのかと唸ってしまうような場面がいくつもあって、それも物語の面白さに味を添えてくれる。
以上
帯より:就活に挫折し、親に愛想尽かされた俺の最後の居場所は小さな離島と、ネットゲームの世界にあった。
崖っぷちニート、島暮らし始めます。
ということでもう少し補足:オンライゲーム三昧のニートの「俺」は伯父さんの遺産である離島の建物を譲り受け、行ってみるとすでにそこで暮らさなくてはならない状況に追い込まれてしまう。島民わずか19名、しかもほとんどが老人という小さな島で、生活費を稼ぐために建物の空き部屋を下宿として貸すことを思いつく。
そうして一人二人とうまく生活でない若者がこの小さな島に集まって色々な交流が広がっていくという物語。
感想:この作品は2019年の間に雑誌に掲載されていたもので、比較的最近の若者事情?が描かれてる。この作者はそういう社会事情を取り入れた利するものも色々とあるようで、今回はニートとゲームオタクな世界が描かれている。
作者は1966年生まれとあるので、今時のゲーム事情とかかなり勉強したのかなあと思ってしまった。
最も作中に出てくるオンラインゲームはちょっと変わったやり込み型のゲームで何周でもできてしまうというのは作者の発想なのかな〜。まあ、そのゲームでのやり取りとか会話とかそういうのはオンラインゲーム特有でしょうね。そして背景にあるゲーム世界と主人公たちの現実世界が織り交ぜられて物語が進んでいく。
ゲームオタク、ニートな世界だけの話ではなく、館の住人たちは大きな転換点を越えて、この島の中(現実)で新しい世界を広げていく物語になっている。
因みに題名の二百十番はニートのもじりになってます。
作者は日常ミステリーとでもいうような書き手なので、物語の端々に出てくるちょっとした出来事が後々大きな鍵になるという書き方、そしてそれが読み手に明かされてそうだったのかと唸ってしまうような場面がいくつもあって、それも物語の面白さに味を添えてくれる。
以上
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夏への扉 ハインライン ハヤカワSF (2020年版 元は1956年)
裏表紙より:ぼくの飼い猫ピートは、冬になるときまって『夏への扉』を探しはじめる。家にあるどれか一つが夏に通じていると固く信じているのだ。そして1970年2月、ぼくもまた『夏への扉』を探していた。親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしまったからだ。さらに冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは失ったものを取り戻すことができるのか。
感想あれこれ:
再読のはずなのだけど内容を随分と忘れてしまっていた。初めの数十ページはなんとなく覚えてたので、ダラダラと読んでいたが展開がいかにも古い時代だなあと思ったりしていた。
多分以前読んだ時はそこまで思わなかったと思う。でも今回は、送りこまれたという2000年だってとっくに過ぎていて、主人公の発明品にしても実際に連想させるような品もできているという時代になっているんだなあ、と改めて思ってしまった。
後半に入ると急展開するのでそこからがなかなか面白くて一気に読み終えてしまった。
この作品の初版が1956年。今から70年近く前のことだ。当時の人が70年をどう見ていたのかそして2000年は遙か遠い未来だったのだろう。
そう思うとあれこれ合わせて遠くへ来たもんだなあって感じもする(笑)。
もしかしたらまた何年か後に読み直してるかもしれない。
その時また内容を忘れていたらどうしましょう^^;。
裏表紙より:ぼくの飼い猫ピートは、冬になるときまって『夏への扉』を探しはじめる。家にあるどれか一つが夏に通じていると固く信じているのだ。そして1970年2月、ぼくもまた『夏への扉』を探していた。親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしまったからだ。さらに冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは失ったものを取り戻すことができるのか。
感想あれこれ:
再読のはずなのだけど内容を随分と忘れてしまっていた。初めの数十ページはなんとなく覚えてたので、ダラダラと読んでいたが展開がいかにも古い時代だなあと思ったりしていた。
多分以前読んだ時はそこまで思わなかったと思う。でも今回は、送りこまれたという2000年だってとっくに過ぎていて、主人公の発明品にしても実際に連想させるような品もできているという時代になっているんだなあ、と改めて思ってしまった。
後半に入ると急展開するのでそこからがなかなか面白くて一気に読み終えてしまった。
この作品の初版が1956年。今から70年近く前のことだ。当時の人が70年をどう見ていたのかそして2000年は遙か遠い未来だったのだろう。
そう思うとあれこれ合わせて遠くへ来たもんだなあって感じもする(笑)。
もしかしたらまた何年か後に読み直してるかもしれない。
その時また内容を忘れていたらどうしましょう^^;。


カーテンコール 加納朋子 新潮社 2017年発行
帯より:
幕が下りた、と思ったその先に、本当の人生が待っていた。
閉校が決まった萌木女学園。
私達はその最後の卒業生、のはずだったーー。
「ワケあり」
の私達に与えられた半年の猶予。ただし、外出、ネット、面会、全部禁止!
これじゃ軟禁生活じゃない!!
補足:上の帯よりはできるだけ帯に書いてある通りに一部フォントを大きくしたり色を変えてみた(笑)。
感想:短い作品の作品集かなと思って読み始めたら、実は6つの章からなる連作で一つの作品。実は、一番初めの章にあたる作品がまるで女学園とは関係ないような展開で始まっていて、しばらくそれがどんな意味なのかわからないまま進んでいく。
ところがこれが推理小説にある叙述トリックで、その章の途中でどんでん返しがある。そこからこの話がスタートするのだが、このトリックで一気に引き込まれて続けて読み切ってしまった。
う〜ん、自分って単純だなあ^^;。
それにしても、加納朋子が取り上げる作品の題材は色々と面白い。現代ならではの問題や、専門的なことも取り上げている。
今回の作品では心の問題、心の病やら在り方というのものが主だ。それらを抱えても尚且つ少し前に向けるようにと校長の思惑が見え隠れする。そして最後がこの学校を閉鎖することになった校長の思いが描かれている。ここにも叙述トリックがあって、読み終えてホッとするのだ。
2017年の発行ということなのでそろそろ10年ほど前の題材なのだろうけど、人の心はいつになってもそう大きくは変わらない。今でも十分ホッとできる作品だと思う。
