ちりぬるをわか
日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

「カエルの楽園」 百田尚樹 新潮文庫
あらすじ(裏表紙の解説の写し)
国を追われた二匹のアマガエルは、辛い放浪の末に楽園にたどり着く。その国は「三戒」と呼ばれる戒律と「誤りソング」という奇妙な歌によって守られていた。(以下略)
とりあえず第一章まで読み終えたので思うことを書いておきましょ。
あらすじの続きとして、アマガエルがたどり着いた楽園の南には沼があり大きなウシガエルがいる。そして、少し離れたところにワシがいて楽園の様子を見て、周りに目を光らせている、そしてこの楽園の内情が描かれているところまでが第一章。
まず気になったのは、登場するカエルの名前。主人公カエルがソクラテスという名なので、他のカエルの名も何かしらの人物からのものかと思って、しばらく名前が出るたびに検索してしまってなかなか読み進まなかったのでした(笑)。
名前の方は、そのうち大体のニュアンスでわかるようになってきたのでようやく話が進んだ感じ。
まあ、それにしてもキツイ内容のお話だなと感じ、途中で本を伏せたくなった。それは、筆者がこういうことを言いたいのだろうと言うのが痛いほどわかる、と思うから。そして楽園のカエルたちの置かれてる状況も、思うところがたくさんあるわけで、軽く寓話的に読むには内容が厳しすぎる。
第一章では楽園についた途端、徐々に不穏な感じが漂ってくる。それは今の楽園カエルが目を背けている実情でもあるわけだ。
この楽園のカエルとて善にも悪にもなりうる。けれどそれとは別にそのカエルのもつ傾向性というものもあってそういうのがかえって楽園を支配してしまってるのだろうなあ。
それをを主人公カエルの目を通して厳しく見ていくが、どうすればいいとかは言えないのが主人公の立ち位置だ。その厳しい目をして、主人公名をソクラテスという古代哲学者にした理由なのかもなと思ったりした。
私個人は、感覚的に、おそらく主人公カエルに近い立場にいるんだろうな。楽園から離れたところにいて色々と感じることもあってそれらを元に生きてきた経緯があるのだ。なので「三戒バンザイ」とはならない。
それがいいのか悪いのかはこの先の展開で出て来るんだけど、第一章まででもこの先におそらく大変なことが起こるんだろうなと感じる。
で、通して読むには厳しすぎる気がする(笑)ので、一旦本を置いて感想をまとめておくことにしたのでした。
また折々読み進めていきましょう。
中途半端な感想だけどとりあえず記しておきます。
あらすじ(裏表紙の解説の写し)
国を追われた二匹のアマガエルは、辛い放浪の末に楽園にたどり着く。その国は「三戒」と呼ばれる戒律と「誤りソング」という奇妙な歌によって守られていた。(以下略)
とりあえず第一章まで読み終えたので思うことを書いておきましょ。
あらすじの続きとして、アマガエルがたどり着いた楽園の南には沼があり大きなウシガエルがいる。そして、少し離れたところにワシがいて楽園の様子を見て、周りに目を光らせている、そしてこの楽園の内情が描かれているところまでが第一章。
まず気になったのは、登場するカエルの名前。主人公カエルがソクラテスという名なので、他のカエルの名も何かしらの人物からのものかと思って、しばらく名前が出るたびに検索してしまってなかなか読み進まなかったのでした(笑)。
名前の方は、そのうち大体のニュアンスでわかるようになってきたのでようやく話が進んだ感じ。
まあ、それにしてもキツイ内容のお話だなと感じ、途中で本を伏せたくなった。それは、筆者がこういうことを言いたいのだろうと言うのが痛いほどわかる、と思うから。そして楽園のカエルたちの置かれてる状況も、思うところがたくさんあるわけで、軽く寓話的に読むには内容が厳しすぎる。
第一章では楽園についた途端、徐々に不穏な感じが漂ってくる。それは今の楽園カエルが目を背けている実情でもあるわけだ。
この楽園のカエルとて善にも悪にもなりうる。けれどそれとは別にそのカエルのもつ傾向性というものもあってそういうのがかえって楽園を支配してしまってるのだろうなあ。
それをを主人公カエルの目を通して厳しく見ていくが、どうすればいいとかは言えないのが主人公の立ち位置だ。その厳しい目をして、主人公名をソクラテスという古代哲学者にした理由なのかもなと思ったりした。
私個人は、感覚的に、おそらく主人公カエルに近い立場にいるんだろうな。楽園から離れたところにいて色々と感じることもあってそれらを元に生きてきた経緯があるのだ。なので「三戒バンザイ」とはならない。
それがいいのか悪いのかはこの先の展開で出て来るんだけど、第一章まででもこの先におそらく大変なことが起こるんだろうなと感じる。
で、通して読むには厳しすぎる気がする(笑)ので、一旦本を置いて感想をまとめておくことにしたのでした。
また折々読み進めていきましょう。
中途半端な感想だけどとりあえず記しておきます。
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「トオリヌケキンシ」 加納朋子 文藝春秋 2014年
あらすじ:「トオリヌケキンシ」の札をきっかけに小学生のおれとクラスメイトの女子に生まれた交流。「トオリヌケキンシ」 今では至って平凡な女の子の私だけど、昔は四つ葉のクローバーの(声)が聞こえたらしい。「平穏で平凡で、幸福な人生」 優しかったお母さんが突然意地悪になった。幼い僕は地獄の只中にいた。「空蝉」 人の顔を識別できない僕が女の子から告白された!不思議な恋の行方は?「フー・アー・ユー」 長年連れ添った奥さんを亡くした近所のおじいちゃんが「家の中に座敷童がいる」って!「座敷童と兎と亀と」 外に出ることの叶わないヒキコモリの僕。自由を満喫できるのはただ夢の世界だけ。「この出口のない、閉ざされた部屋で」
以上は本の帯からの転載
感想:どの作品にも共通しているのは、始まりの部分からの印象が最後に大きく覆される「どんでん返し」。これはおそらくミステリー的な書き方なのだと思う。加納朋子もミステリー推理作家ということになってる。
ただミステリーと言っても、穏やかな雰囲気の作品なのは違いないが、全部読み終えた後に少し違和感があった。
後ろに載っている作品初出リストを見たら「トオリヌケキンシ」だけ2006年。それ以外は20013〜14年になっている。この短編集の中でも「トオリヌケキンシ」以外は何かが違う気がした。それで気になったことをちょこっと書き出してみたら、「平穏で・・」は共感覚 「空蝉」脳腫瘍 「フー・」相貌失認 「座敷童」脳梗塞からの半則空間無視 「この出口のない」は明晰夢と病気が描かれている。
さらに別ページの作者の作品のリストをみると、「無菌病棟より愛をこめて」という作品が書かれていた。それで作者は病気になってしばらく描けない時期があったんだろう。おそらく長期に入院するほどひどくて大変な思いをしたのだろうと思い至った。
でwikiを見たら、作者は白血病で骨髄移植を受けて助かっていたのがわかった。それがいつだったのかわからないけど、色んな作品が出た日付をみると2010年の後半以降だろう。そして2011年は治ってまた作品を書き始めたかな。治癒後、元々書いていたが本に出てなかった「トオリヌケキンシ」を含め、残りの5編が書かれて短編集として出版されたと推測。
そう思うと、最後の「この出口のない」は作者の体験が随所に描かれてるんだなあと、改めて思ったのでした。
5つの作品で病気や脳の変調が描かれているのは、入院までに色々と調べた結果でもあるのかな。その暗くて重い雰囲気がこの短編集の中に見え隠れするような気がするのは、一つ前に読んだ「一番初めの海」と比べてしまってるからなんだろう。
うん、本を読んで推理するってこういうパターンもありなのかもしれないと思った。
そんなこんなで、この作者の書くものについても少し深く見られるようになった短編集だったかなと思うのでした。
余談:手帳にあれこれ書き出した後、もう少しこの人の書くものを読んでみようと図書館で最新作を探したら、予約で24人待ち。でも予約しましたよ^^。
あらすじ:「トオリヌケキンシ」の札をきっかけに小学生のおれとクラスメイトの女子に生まれた交流。「トオリヌケキンシ」 今では至って平凡な女の子の私だけど、昔は四つ葉のクローバーの(声)が聞こえたらしい。「平穏で平凡で、幸福な人生」 優しかったお母さんが突然意地悪になった。幼い僕は地獄の只中にいた。「空蝉」 人の顔を識別できない僕が女の子から告白された!不思議な恋の行方は?「フー・アー・ユー」 長年連れ添った奥さんを亡くした近所のおじいちゃんが「家の中に座敷童がいる」って!「座敷童と兎と亀と」 外に出ることの叶わないヒキコモリの僕。自由を満喫できるのはただ夢の世界だけ。「この出口のない、閉ざされた部屋で」
以上は本の帯からの転載
感想:どの作品にも共通しているのは、始まりの部分からの印象が最後に大きく覆される「どんでん返し」。これはおそらくミステリー的な書き方なのだと思う。加納朋子もミステリー推理作家ということになってる。
ただミステリーと言っても、穏やかな雰囲気の作品なのは違いないが、全部読み終えた後に少し違和感があった。
後ろに載っている作品初出リストを見たら「トオリヌケキンシ」だけ2006年。それ以外は20013〜14年になっている。この短編集の中でも「トオリヌケキンシ」以外は何かが違う気がした。それで気になったことをちょこっと書き出してみたら、「平穏で・・」は共感覚 「空蝉」脳腫瘍 「フー・」相貌失認 「座敷童」脳梗塞からの半則空間無視 「この出口のない」は明晰夢と病気が描かれている。
さらに別ページの作者の作品のリストをみると、「無菌病棟より愛をこめて」という作品が書かれていた。それで作者は病気になってしばらく描けない時期があったんだろう。おそらく長期に入院するほどひどくて大変な思いをしたのだろうと思い至った。
でwikiを見たら、作者は白血病で骨髄移植を受けて助かっていたのがわかった。それがいつだったのかわからないけど、色んな作品が出た日付をみると2010年の後半以降だろう。そして2011年は治ってまた作品を書き始めたかな。治癒後、元々書いていたが本に出てなかった「トオリヌケキンシ」を含め、残りの5編が書かれて短編集として出版されたと推測。
そう思うと、最後の「この出口のない」は作者の体験が随所に描かれてるんだなあと、改めて思ったのでした。
5つの作品で病気や脳の変調が描かれているのは、入院までに色々と調べた結果でもあるのかな。その暗くて重い雰囲気がこの短編集の中に見え隠れするような気がするのは、一つ前に読んだ「一番初めの海」と比べてしまってるからなんだろう。
うん、本を読んで推理するってこういうパターンもありなのかもしれないと思った。
そんなこんなで、この作者の書くものについても少し深く見られるようになった短編集だったかなと思うのでした。
余談:手帳にあれこれ書き出した後、もう少しこの人の書くものを読んでみようと図書館で最新作を探したら、予約で24人待ち。でも予約しましたよ^^。


「月まで3キロ」 伊与原 新 新潮社 2018年
内容紹介:2019年に新田次郎賞を取った本と言うことで読んでみたかった本。月まで3キロ 星六花 アンモナイトの探し方 天王寺ハイエイタス エイリアンの食堂 山を刻む の6作からなる短編集。いずれの作品も科学と人の繋がりを描いている。科学という鍵を使って人の心を少し開いていく。
開いてどうなるのかは読者に任されているが、それまでの澱みからは少し前へ向かうのだろうと思わせてくれる終わり方になってる。
感想:どれが新田次郎賞なのかと思っていたが、どうやらこの6作をまとめた「月まで3キロ」が受賞したということかなと思う。
大体、本の最初から読んでいくと思うが、今回お試しで最後の作品(山を刻む)から読んでみた。読んでいて、孤高の人や栄光の岩壁、それと強力伝が出てくる。新田次郎は好きでほとんど読んでいるからちょっとびっくり(笑)。それと主人公の持ってるカメラ。自分のはニコンったけど、同じ時代に作られた一眼レフカメラを旅行などに持ち歩いていたのも親しみがある。
どの作品をとってみてみどこか懐かしいものが所々に出てくる6作になっている。書き出しているとどんどん出てくるので「山を刻む」だけにしておこう(笑)。
しかも物語の鍵になる科学的な情報も割と興味があるものばかり。本当に親しみのある作風だと思う。
どの作品が一番心に残るのかというのも難しいが、個人的に一番響いたのは「エイリアン食堂」のプレアさんだろう。自らを流れものと呼ぶプレアさん。だけど一番奥に自分を繋ぎ止めるものを持ってるのがわかる。
ちなみに表題の「月まで3キロ」は状況が重すぎるところがある。けれどこの標識は見てみたいと思ったので検索したら出てきたので満足した。
お気に入りのセリフ:これは「アンモナイトの探し方」から。
「わかるは わけるだ。正しくわけるというのは、人が思うほど簡単ではない」「・・・わかるための鍵は常に、わからないところの中にある。その鍵を見つけるためには、まず、何がわからないかを知らなければならない。つまり、わかるとわからないを、きちんとわけるんだ」
という戸川さんの言葉でしょうか。
このセリフ、「月まで3キロ」の全部の作品の縮図でもあるんだなあって読み終えてから思ったのでした。
ちなみに、一つ前に読んだ「八月の銀の雪」もこの構造で描かれてるなって思います。長編はどうなのかわからないので、また機会があれば読んでみたい。
内容紹介:2019年に新田次郎賞を取った本と言うことで読んでみたかった本。月まで3キロ 星六花 アンモナイトの探し方 天王寺ハイエイタス エイリアンの食堂 山を刻む の6作からなる短編集。いずれの作品も科学と人の繋がりを描いている。科学という鍵を使って人の心を少し開いていく。
開いてどうなるのかは読者に任されているが、それまでの澱みからは少し前へ向かうのだろうと思わせてくれる終わり方になってる。
感想:どれが新田次郎賞なのかと思っていたが、どうやらこの6作をまとめた「月まで3キロ」が受賞したということかなと思う。
大体、本の最初から読んでいくと思うが、今回お試しで最後の作品(山を刻む)から読んでみた。読んでいて、孤高の人や栄光の岩壁、それと強力伝が出てくる。新田次郎は好きでほとんど読んでいるからちょっとびっくり(笑)。それと主人公の持ってるカメラ。自分のはニコンったけど、同じ時代に作られた一眼レフカメラを旅行などに持ち歩いていたのも親しみがある。
どの作品をとってみてみどこか懐かしいものが所々に出てくる6作になっている。書き出しているとどんどん出てくるので「山を刻む」だけにしておこう(笑)。
しかも物語の鍵になる科学的な情報も割と興味があるものばかり。本当に親しみのある作風だと思う。
どの作品が一番心に残るのかというのも難しいが、個人的に一番響いたのは「エイリアン食堂」のプレアさんだろう。自らを流れものと呼ぶプレアさん。だけど一番奥に自分を繋ぎ止めるものを持ってるのがわかる。
ちなみに表題の「月まで3キロ」は状況が重すぎるところがある。けれどこの標識は見てみたいと思ったので検索したら出てきたので満足した。
お気に入りのセリフ:これは「アンモナイトの探し方」から。
「わかるは わけるだ。正しくわけるというのは、人が思うほど簡単ではない」「・・・わかるための鍵は常に、わからないところの中にある。その鍵を見つけるためには、まず、何がわからないかを知らなければならない。つまり、わかるとわからないを、きちんとわけるんだ」
という戸川さんの言葉でしょうか。
このセリフ、「月まで3キロ」の全部の作品の縮図でもあるんだなあって読み終えてから思ったのでした。
ちなみに、一つ前に読んだ「八月の銀の雪」もこの構造で描かれてるなって思います。長編はどうなのかわからないので、また機会があれば読んでみたい。
