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ちりぬるをわか

日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

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昨日借りてきて、結局夜中まで読んでいた。
辞書編纂という固いイメージの作業を軽い感じの文体でどんどんと進んでいくので読みやすかった。
「まじめ」という名/アダ名の通りの主人公が辞書編纂に携わって13年の年月を経て大渡海と命名された辞書が完成するまでの話。大渡海というのは、辞書を言葉の海を渡っていくための舟になぞらえていることからで、ここから本のタイトルの舟を編むに繋がる。
辞書という舟は、言葉の海を渡って、自分の思いを伝えるために必要な言葉を探すためのもの。人間は未だ生まれぬ人達をつなぐ為に言葉を作ったのだ、そしてその舟に乗って思いを紡ぐ為に必要な言葉を大きな海から探すのだと。

ラストで辞書が完成する場面は少し感動してしまった。

細かいところもいろいろと面白かった。少し疑問が残るところもあったけどそれは舟を編む上では瑣末なエピソードなのかもしれないので良しとしましょう^^。

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さて図書館から借りてきたクリスティの本で、一冊だけ残っていた「魔術の殺人」を読み終えた。

いつものことで、なんとなく犯人はわかったがトリックが分からない。最後まで読んで、ああ、あの時の描写はそういうことだったのか、と思い返す。
まあ、他の作品に漏れず、イギリス人はどうだ、イタリア人は、アメリカ人は、とお国柄の記述が気を引くのだが、そこはおいといて、面白いことは間違いない。
犯人の特定を混乱させるための複線的な一つの問題がラストでハッピーエンドになっていたので、なんとなく良かったな~という気分にさせる。

この作品は探偵役がミス・マープル。何冊かミス・マープルのシリーズを読んでみて思ったのは、作品の中における時系列でシリーズを読んでいったほうがより楽しめたのだろうなということ。適当に目についたものから読んでいたので、以前にでてきた登場人物がひょっこり現れてきても誰のことかな?と疑問符がついたままになってしまうからねえ。

今回の作品もだけど、クリスティの作品の中では事件の解決と法のもとの裁きは一緒ではないことを改めて感じた。一番すごいと思ったのは、少し前に読んだポアロ最後の事件の「カーテン」だったが。この作品もその一つで、事件は解決したけど犯人は裁かれる前に死んでしまいました、というエンディング。これ以外でもいくつもの作品の中で此のパターンが出てくる。

5月の中旬から2ヶ月半ほどで19冊を読んできたが、ひとまずクリスティはここで一旦お休みにしよう。いろいろな作品を読むのは面白かった。また気が向いたらクリスティの本を探してきて読みましょ^^。
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クリスティはいったん置いといて、八月の六日間を読んだ。

 北村薫の文体は柔らかくて読みやすい。かなり女性的だなと思う。ずっと前に初めて読んだ時は、この人は女性かなと思ってしまったほどだ(笑)。
 一般的な感想でいえば、面白いお話だった。山歩きのいいところやそうでないところ、楽しさや辛さなども書かれていて、山へ何かを探しに行くとか、忘れ物を取りに行くとか、そういうのはわかる気がする。
あれこれと共感できるところもあるし、冒頭の方で出てきた加藤文太郎の「単独行」などもポイントが高い。
自分で登らなくてもそこに山があるだけで良しとする感覚、そこへ行く誰かにバトンを渡すとか、そういうのも同感できる。
 たしかにこれを読んで山へ行ってみたいなと感じる人がいても不思議じゃない。

 でも途中で幾つか違和感が出てくる。あとがきまで読んでみて判ったのだが、この人は山を歩かずにこのお話を書いたのだそうだ。山歩きをする人に話を聞いたり、山のDVDを見たり。かなり調べて書いたのだろうけど、実際に自分で歩いていないので、細かい所で違和感が出てきてたんだなあ。
 一番の違和感は、主人公の山行きがあまりにも行き当たりばったり過ぎること。ここに書かれているような何日もかけて歩く山なら、どこへ行くって決めるのは当然だけど、綿密なとは言わなくても登山計画があってしかるべきで、それを書面にして提出するなんていうシーンが一切ない。
 そして途中で違う場所へ向かってみようとしたり、持っているのに地図やコンパスを使わずに他の登山者にどうでしょうかと聞いたり、なんてとても三年も山歩きをした人がやることとは思えない、という違和感。
 もしかしてこういうのが今の山歩きの主流なのか?そしてこの主人公は、こんな山歩きをしていたらいつか遭難するだろうなって思ったのも確か。^^;

 一人で歩く楽しみ、気持ち、山の景色、空気の素晴らしさなどは書かれているけど、一人で山を歩く為の本当に基本的なことが描かれていないと思った。基本的なといってもマニュアルがあるわけではなく個人の感想的なところが大きいのだが、それでも歩く際の体重移動の方法や足の運び方歩きのリズムなどは共通するお約束じゃないかなと思う。

 まあ、そういう諸々の違和感があったのは、はじめの方に山のあれこれが出てきたので、つい山歩きのお話だと思ってしまったこちらの問題なんだろう。

 この本は山歩きのお話ではなくて、山歩き「も」する女性がどう自分と向き合っていくかが主題で、そういう意味ではとても面白いお話だった。もう一度おさらいがてら読みなおしておこうと思っている。^^
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