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ちりぬるをわか

日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

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「サエズリ図書館のワルツさん」 紅玉いづき 創元推理文庫 2023/05/31

中表紙より:世界情勢の変化と電子書籍の普及におり、紙の本が貴重な文化財となった近未来。そんな時代に、本を利用者に無料で貸し出す私立図書館があった。
“特別保護司書官“のワルツさんが代表を務める、さえずり町のサエズリ図書館。
今日もまた、本に特別な想いを抱く人々がサエズリ図書館を訪れる—。 

本と無縁の生活を送っていた会社員、娘との子ヒョリを感じる図書館常連の小学校教師、本を愛した祖父との思い出に縛られる青年など、彼らがワルツさんと交流し、本を手にした時に、訪れる奇跡とは。
書籍初収録短編を含む本と人の奇跡を描いた前節のシリーズ第1弾、待望の文庫化。


感想:読み始めは世界観が良くわからないのと、短編集だという思い込みがあったのでピンとこなかった。しかし、本に対する作者の想いが主人公のワルツさんを通して描かれているのは良く伝わってきた。

近未来というのはわかるのだけど、パッと想像するような文明的な近未来ではないのがこの物語の大きな要素で、それに関しても読み進めるほどにわかってくる。

読み終えて感じたのは描かれてる本への想い以上に、背景的に描かれてきた世界観の恐ろしさだろうか。いわゆる第三次世界対の後の世界、それとワルツさんの秘密が物語の進行と共に少しずつ明かされていくのは小説というよりもSFだなあと思った。

0この続きの「サエズリ・・・2」を続けて借りるのでこの先の物語も楽しみ。

以上
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十角館の殺人 <新装改訂版> 綾辻行人 講談社文庫 1987/9 新装改訂版は2007/10/16

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける! 1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。(講談社文庫)

感想:綾辻行人の本を読むのは2冊目だと思う。一冊目に読んだ本がホラーだったので、余りに強烈過ぎて次を読む気がしなかったのだ。
という経緯があったの、この作者の事を知らないままでいたが、面白い推理小説ということで図書館で予約したのが昨年の6月。それから実に9か月待ったわけですね。いや~、長かった(笑)。
本作が1987年のデビュー作だそうで、当時はかなり騒がれていたというのはあとがきや解説に書かれていた。1987年初版の割にはいまだに人気があって今でも順番待ちになっている。

物語の内容から1980年代後の人々の雰囲気をひしひしと感じるし、文体というか全体的に今風じゃないなあとは思った。

でも内容は今読んでも面白い推理小説。孤島で事件が起きて次々と人が亡くなっていくという、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」に似たような話ではあるが、それ以上に臨場感があるし、読み進むにつれて誰が犯人なんだろう? といちいち立ち止まって考えるのも楽しい。

そして孤島での登場人物がすべていなくなったあとでのどんでん返しもアッと言わされた。
そこには叙述的なトリックというか、読み手の思い込みもあったりして、え~~~~っと思ってしまうんだろうなあ。

まあ、確かに面白かったので、デビュー当時の良しゴタゴタがあったというあとがきと解説はスルーした。
作品自体はとても楽しめたのでそれで良し^^。

以上
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「ふちなしのかがみ」 辻村深月 角川書店 2009/6/30出版

帯より:
この学校の花子さんは、昔、音楽室の窓から飛び降り自殺をした少女の霊です。花子さんは階段にすんでいます。その階段を一生懸命掃除すれば、花子さんに会うことができます。
でも花子さんがくれる食べ物や飲み物を、口にしてはいけません。花子さんの質問に、嘘をついてもいけません。さもなくば、あなたは呪われてしまいますーー。

ある時を境に消えた友達、鏡の向こうに見えたいつかの私。

異世界へとつながる扉を開けたときのことを、あなたは覚えてますか?

(帯にはこの他に 「青春ミステリの気鋭が初めて封印を破った現代の怪談」というのもかかれていた)

感想(長文):前回の「きのうの影踏み」が読めたので、もう一つ怪談系も大丈夫かなと思って読んでみた。短い5つの話からなる作品集。

幽霊などが出てくるのは一作目の「踊り場の花子さん」と最後の「八月の天変地異」。
「ブランコをこぐ足」はこっくりさんに呪われる的な話。
「おとうさん、したいがあるよ」は、何がどうなってるのか分からない話。
「ふちなしのかがみ」は夜中に鏡に自分の未来が見えるというところから始まる話。
この3篇は人しか出てこない。

この中で「おとうさん・・」は読んでいても何がなんだかわからなかった。でもここで投げたら試合終了なのでちょっと真面目に考えてみた(笑)。

これは主人公と両親が祖父母の家を片付けていくと、あり得ない場所からしたいが次々と出てくる話。主人公と家族はそれを何とかしなくてはと動くが、次の日になってみると家族は何もなかったよう過ごしてる。

本人だけが覚えていて、周りが変になったように書かれているんだが、実は主人の意識がおかしくなっている。この話は見方を変えなくてはいけないのだろう。
作中にはもしかしたら主人公が異常をきたしたきっかけに繋がる事も出てくる。

それらを合わせてみて、この作品は人間の意識(脳の機能障害)で生じる現象(つまり病症)を書いてると考えた。うん、心理学的に見てみると納得いくところがいくつもある。(かがみの孤城でも感じたが、作者はある程度心理学を学んでるのでは、と思ってる)

それにあえて名前を付けるのなら、主人公が感じる怪談話になるんだろう。しかし最後に主人公はまたのっぺりとした感情に戻ってしまう。これも脳機能のブレによるものとも考えられる。
これは異常をきたした脳がどういったことを認識するのかを描いた怖さなのか、という解釈。

「ふちなしのかがみ」もこれと同じで、「精神に異常をきたした(これは最後にわかる)」主人公が正常な判断が出来なくなって悲劇を招いてしまうという話。それを全く認識できない主人公が悲惨だ。
「おとうさん・・」よりもいろいろな情報というかパーツが散りばめられていて、最後の数行で主人公が誰なのかがわかると同時に主人公がどうしてこうなったのかも一気にあらわになる。これはすごく上手いなあと思った。

「八月の天変地異」は幽霊が出てくる話なのだけど、1月に読んだ「きのうの影踏み」の中の「ななつのカップ」にも通じるような、幽霊だけど出てきてよかった、ちょっとホッする感じの話になってる。

どの作品も現代の闇というか心の暗闇のが描かれている。それそのものが現代の怪談なのかもしれないなと思うのでした。

以上
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