ちりぬるをわか
日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

「トオリヌケキンシ」 加納朋子 文藝春秋 2014年
あらすじ:「トオリヌケキンシ」の札をきっかけに小学生のおれとクラスメイトの女子に生まれた交流。「トオリヌケキンシ」 今では至って平凡な女の子の私だけど、昔は四つ葉のクローバーの(声)が聞こえたらしい。「平穏で平凡で、幸福な人生」 優しかったお母さんが突然意地悪になった。幼い僕は地獄の只中にいた。「空蝉」 人の顔を識別できない僕が女の子から告白された!不思議な恋の行方は?「フー・アー・ユー」 長年連れ添った奥さんを亡くした近所のおじいちゃんが「家の中に座敷童がいる」って!「座敷童と兎と亀と」 外に出ることの叶わないヒキコモリの僕。自由を満喫できるのはただ夢の世界だけ。「この出口のない、閉ざされた部屋で」
以上は本の帯からの転載
感想:どの作品にも共通しているのは、始まりの部分からの印象が最後に大きく覆される「どんでん返し」。これはおそらくミステリー的な書き方なのだと思う。加納朋子もミステリー推理作家ということになってる。
ただミステリーと言っても、穏やかな雰囲気の作品なのは違いないが、全部読み終えた後に少し違和感があった。
後ろに載っている作品初出リストを見たら「トオリヌケキンシ」だけ2006年。それ以外は20013〜14年になっている。この短編集の中でも「トオリヌケキンシ」以外は何かが違う気がした。それで気になったことをちょこっと書き出してみたら、「平穏で・・」は共感覚 「空蝉」脳腫瘍 「フー・」相貌失認 「座敷童」脳梗塞からの半則空間無視 「この出口のない」は明晰夢と病気が描かれている。
さらに別ページの作者の作品のリストをみると、「無菌病棟より愛をこめて」という作品が書かれていた。それで作者は病気になってしばらく描けない時期があったんだろう。おそらく長期に入院するほどひどくて大変な思いをしたのだろうと思い至った。
でwikiを見たら、作者は白血病で骨髄移植を受けて助かっていたのがわかった。それがいつだったのかわからないけど、色んな作品が出た日付をみると2010年の後半以降だろう。そして2011年は治ってまた作品を書き始めたかな。治癒後、元々書いていたが本に出てなかった「トオリヌケキンシ」を含め、残りの5編が書かれて短編集として出版されたと推測。
そう思うと、最後の「この出口のない」は作者の体験が随所に描かれてるんだなあと、改めて思ったのでした。
5つの作品で病気や脳の変調が描かれているのは、入院までに色々と調べた結果でもあるのかな。その暗くて重い雰囲気がこの短編集の中に見え隠れするような気がするのは、一つ前に読んだ「一番初めの海」と比べてしまってるからなんだろう。
うん、本を読んで推理するってこういうパターンもありなのかもしれないと思った。
そんなこんなで、この作者の書くものについても少し深く見られるようになった短編集だったかなと思うのでした。
余談:手帳にあれこれ書き出した後、もう少しこの人の書くものを読んでみようと図書館で最新作を探したら、予約で24人待ち。でも予約しましたよ^^。
あらすじ:「トオリヌケキンシ」の札をきっかけに小学生のおれとクラスメイトの女子に生まれた交流。「トオリヌケキンシ」 今では至って平凡な女の子の私だけど、昔は四つ葉のクローバーの(声)が聞こえたらしい。「平穏で平凡で、幸福な人生」 優しかったお母さんが突然意地悪になった。幼い僕は地獄の只中にいた。「空蝉」 人の顔を識別できない僕が女の子から告白された!不思議な恋の行方は?「フー・アー・ユー」 長年連れ添った奥さんを亡くした近所のおじいちゃんが「家の中に座敷童がいる」って!「座敷童と兎と亀と」 外に出ることの叶わないヒキコモリの僕。自由を満喫できるのはただ夢の世界だけ。「この出口のない、閉ざされた部屋で」
以上は本の帯からの転載
感想:どの作品にも共通しているのは、始まりの部分からの印象が最後に大きく覆される「どんでん返し」。これはおそらくミステリー的な書き方なのだと思う。加納朋子もミステリー推理作家ということになってる。
ただミステリーと言っても、穏やかな雰囲気の作品なのは違いないが、全部読み終えた後に少し違和感があった。
後ろに載っている作品初出リストを見たら「トオリヌケキンシ」だけ2006年。それ以外は20013〜14年になっている。この短編集の中でも「トオリヌケキンシ」以外は何かが違う気がした。それで気になったことをちょこっと書き出してみたら、「平穏で・・」は共感覚 「空蝉」脳腫瘍 「フー・」相貌失認 「座敷童」脳梗塞からの半則空間無視 「この出口のない」は明晰夢と病気が描かれている。
さらに別ページの作者の作品のリストをみると、「無菌病棟より愛をこめて」という作品が書かれていた。それで作者は病気になってしばらく描けない時期があったんだろう。おそらく長期に入院するほどひどくて大変な思いをしたのだろうと思い至った。
でwikiを見たら、作者は白血病で骨髄移植を受けて助かっていたのがわかった。それがいつだったのかわからないけど、色んな作品が出た日付をみると2010年の後半以降だろう。そして2011年は治ってまた作品を書き始めたかな。治癒後、元々書いていたが本に出てなかった「トオリヌケキンシ」を含め、残りの5編が書かれて短編集として出版されたと推測。
そう思うと、最後の「この出口のない」は作者の体験が随所に描かれてるんだなあと、改めて思ったのでした。
5つの作品で病気や脳の変調が描かれているのは、入院までに色々と調べた結果でもあるのかな。その暗くて重い雰囲気がこの短編集の中に見え隠れするような気がするのは、一つ前に読んだ「一番初めの海」と比べてしまってるからなんだろう。
うん、本を読んで推理するってこういうパターンもありなのかもしれないと思った。
そんなこんなで、この作者の書くものについても少し深く見られるようになった短編集だったかなと思うのでした。
余談:手帳にあれこれ書き出した後、もう少しこの人の書くものを読んでみようと図書館で最新作を探したら、予約で24人待ち。でも予約しましたよ^^。
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