ちりぬるをわか
日々のちょっとした事。で、いろんなことがあったりなかったり。

図書館で借りてきた本。元々は同じ作者の「月まで3キロ」を借りたかったのだが貸出中だったのでかわりに手にとった短編集。
それではいつもの形式で書いてみましょ。
「八月の銀の雪」 伊予原 新(いよはら しん) 新潮社 2020年発行
内容紹介:コンビニのベトナム人店員が就活連敗中の理系大学生に見せた驚きの姿。シングルマザーが聞いた深海の話。原発下請け会社を辞めて一人旅をする男。科学の揺るぎない真実が人知れず傷ついた心を救う5篇の物語。(以上は図書館の紹介文より)
ということで本書には 八月の銀の雪 海へ還る日 アルノーと檸檬 玻璃(はり)を拾う 十万年の西風 の5篇で構成されている。紹介文にあるように、それぞれの話が進んでいく中で、科学的な情報が大事な鍵になっていて、それと登場人物達がどのようにつながるのかという展開になる。しかし科学的な話というよりは、登場人物達がそれに気づくことで前に向けるような展開になってる。
2020年に書き下ろされた短編集でもあり、話の中に出てくることは現代に見られることばかりだ。例えばコンビニ店員が外国人だったり、アフィリエイトのことが出て来たり、プログラミングだったり(八月の銀の雪)。シングルマザー(海へ還る日)だったり福島の原発事故の話(十万年の西風)だったり。
特に表題の「八月の銀の雪」は面白いと思った。他も良い作品なんだけど、そもそも八月にどんな銀の雪が降るのか、それはなんなのか?というのが面白い発想なのだ。ネタバレはやめておくが、ここでの科学的なものは地球の中がどうなってるのか、というのがヒントになるのかな。
お気に入りの言葉:これも八月の銀の雪から。長くなるけど残しておきたい。
「人間の中身も、層構造のようなものだ。地球と同じように。
硬い層があるかと思えば、その内側に脆い層。冷たい層を掘った後に、熱く煮えた層。そんな風に幾重にも重なっているのだろう。真ん中の芯がどういうものかは、案外と本人も知らないのかも知れない。
だから表面だけ見ていても、他人には決してわからない。その人間にどんなことがあったのか。奥深くにどんなものを抱えているのか。
それを知る方法はあるのだろうか。(中略:耳を澄ませて聞けば良いのかと思う主人公)」
「僕も耳を澄ませよう。うまくしゃべれなくても耳だけは澄ませていよう。その人の奥深いところで、何かが静かに降り積もる音が、聞き取れるぐらいに。」
感想雑感:筆者のプロフィールがちょっと変わっていて、神戸大学理学部卒でその後、東大の大学院で地球惑星学科専攻、博士課程終了なのだそうです。そのあたりも取り上げられてる科学的な知識や、主人公の理学部大学生の姿などにも出てきてるのかな。
「アルノーと檸檬」はちょっと馴染みがない伝書鳩の話なのだけど、そこにアパートの建て替えの話なんかが絡んでいるのが現代的だなあと思う。
それと「八月の銀の雪」にちょっと出てくる地震学の話は最後の「十万年の西風」と、地震でつながるのかなと思えた。
この本が面白かったのでこの作者の作品はもう少し読んでみようかと思う。そして初めに借りるつもりだった現在も貸出中の「月まで3キロ」は図書館に貸出予約をしました。
「月まで3キロ」は新田次郎文学賞をとったものなのでそれだけでも読んでみたいと思ってたが、「八月の銀の雪」を読んでさらに期待できそう。
来月くらいには読めるかな。
それではいつもの形式で書いてみましょ。
「八月の銀の雪」 伊予原 新(いよはら しん) 新潮社 2020年発行
内容紹介:コンビニのベトナム人店員が就活連敗中の理系大学生に見せた驚きの姿。シングルマザーが聞いた深海の話。原発下請け会社を辞めて一人旅をする男。科学の揺るぎない真実が人知れず傷ついた心を救う5篇の物語。(以上は図書館の紹介文より)
ということで本書には 八月の銀の雪 海へ還る日 アルノーと檸檬 玻璃(はり)を拾う 十万年の西風 の5篇で構成されている。紹介文にあるように、それぞれの話が進んでいく中で、科学的な情報が大事な鍵になっていて、それと登場人物達がどのようにつながるのかという展開になる。しかし科学的な話というよりは、登場人物達がそれに気づくことで前に向けるような展開になってる。
2020年に書き下ろされた短編集でもあり、話の中に出てくることは現代に見られることばかりだ。例えばコンビニ店員が外国人だったり、アフィリエイトのことが出て来たり、プログラミングだったり(八月の銀の雪)。シングルマザー(海へ還る日)だったり福島の原発事故の話(十万年の西風)だったり。
特に表題の「八月の銀の雪」は面白いと思った。他も良い作品なんだけど、そもそも八月にどんな銀の雪が降るのか、それはなんなのか?というのが面白い発想なのだ。ネタバレはやめておくが、ここでの科学的なものは地球の中がどうなってるのか、というのがヒントになるのかな。
お気に入りの言葉:これも八月の銀の雪から。長くなるけど残しておきたい。
「人間の中身も、層構造のようなものだ。地球と同じように。
硬い層があるかと思えば、その内側に脆い層。冷たい層を掘った後に、熱く煮えた層。そんな風に幾重にも重なっているのだろう。真ん中の芯がどういうものかは、案外と本人も知らないのかも知れない。
だから表面だけ見ていても、他人には決してわからない。その人間にどんなことがあったのか。奥深くにどんなものを抱えているのか。
それを知る方法はあるのだろうか。(中略:耳を澄ませて聞けば良いのかと思う主人公)」
「僕も耳を澄ませよう。うまくしゃべれなくても耳だけは澄ませていよう。その人の奥深いところで、何かが静かに降り積もる音が、聞き取れるぐらいに。」
感想雑感:筆者のプロフィールがちょっと変わっていて、神戸大学理学部卒でその後、東大の大学院で地球惑星学科専攻、博士課程終了なのだそうです。そのあたりも取り上げられてる科学的な知識や、主人公の理学部大学生の姿などにも出てきてるのかな。
「アルノーと檸檬」はちょっと馴染みがない伝書鳩の話なのだけど、そこにアパートの建て替えの話なんかが絡んでいるのが現代的だなあと思う。
それと「八月の銀の雪」にちょっと出てくる地震学の話は最後の「十万年の西風」と、地震でつながるのかなと思えた。
この本が面白かったのでこの作者の作品はもう少し読んでみようかと思う。そして初めに借りるつもりだった現在も貸出中の「月まで3キロ」は図書館に貸出予約をしました。
「月まで3キロ」は新田次郎文学賞をとったものなのでそれだけでも読んでみたいと思ってたが、「八月の銀の雪」を読んでさらに期待できそう。
来月くらいには読めるかな。
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